・・・ H・G・ウエルズが一九三四年にモスクを訪ねた時、むこうの作家たちにベルリン、ウィーン、ローマの各ペンクラブが、どんなにファシストの文化政策に対して「文芸の自由と品位を保持するために」たたかったかということを語っている記事を、『セルパン・・・ 宮本百合子 「ペンクラブのパリ大会」
・・・ 主人が家で『モスク新聞』をとるようになった。お茶から夕飯までの時間、ゴーリキイは口論しないときには「退屈し切っている人々の胃の働きをよくするために」『モスク新聞』の隅から隅まで音読して聞かせた。皆は熱心にそれを聞いた。その癖片はじから・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・ モスク文化象徴である石油コンロ、薬カン、人別手帖で買ったところの貴重なパンの塊、ソーセージ、――つつましき人生の全必需品がもち込まれて居るのだ。 この湯槽には、だが幸三十四度の温湯がたたえられてある。黒い東洋の髪をぬらしつつ漬って居る・・・ 宮本百合子 「無題(七)」
出典:青空文庫