・・・ 今はもう只一人の相談相手の達に一寸でも来てもらうより仕様がないと思って、お節は人にたのんで今度の事をこまごまと書き、「私もたった一人にて、何とも致し様これなく候故、何卒、十日ほどの御暇をもろうて一度帰って来て御くれなされ度。・・・ 宮本百合子 「栄蔵の死」
・・・家のお料理は疲れている時には、塩もつい余計と云う事になって定った分量をラジオの様に申しあげられません。何卒舌と御相談下さい。 ピローグ これはロシヤで食べたものの真似です。挽肉をみじんにきざんだ玉葱と一緒にいた・・・ 宮本百合子 「十八番料理集」
『輝ク』を今日拝見していろいろ面白く感じ、同時に相すまなく感じました。この前原稿を御送りするよう、お約束しておきながらそれが果せず、少なからず御迷惑をかけたことについてです。何卒お許し下さい。あの節は毎日心にかかっているのに・・・ 宮本百合子 「現実の問題」
・・・ 隆治さんの手紙は相変らずあっさりしているけれど、今度は自分でも考えることもあるとみえて、島田のみんなが元気なので安心したということや、顕兄様のことを何卒よろしくとくり返し書かれていて、読む方はおのずから感じることも深う御座います。あと・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・そのゴタゴタもあって、咲枝はあなたにさし上げる夜具をまちがえて送ってしまいましたが、あとでとりかえますから、何卒あしからず。 シャツ、薄いもの上下、まだ届きませんかしら。冬のはまだ早いと思い、毛の薄いのを入れましたが。 これが私のい・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・中国文化に対する私共作家の理解は、何卒そういう感を、進歩的であり誠実である中国の人々に抱かせないですむぐらい正確且つ健全な歴史性の動向に沿ったものでありたいと思う。例えば芥川龍之介氏の支那游記と、〔十三字分伏字〕とでは、既に文化の感情が本質・・・ 宮本百合子 「中国文化をちゃんと理解したい」
・・・ 遠慮なく加筆したところもあり、削ったところもございます。何卒あしからず。「この頃の若いもの云々」の話、率直に申すと、貴方の仰云った憂鬱感に対して主として感じた座談以上のものでありませんからおやめに致しましょう。 それから、ブラ・・・ 宮本百合子 「日記・書簡」
・・・「明日のオペラ座の切符手に入り候に付、主人同道お誘いに参り可申候、何卒御待受被下度候。母上様」と云うのでした。お母あ様の所へ出す手紙を、あなたはわたくしの部屋に落してお置きになったですねえ。 女。おや。そうでしたか。あの手紙はあなたの所・・・ 著:モルナールフェレンツ 訳:森鴎外 「最終の午後」
出典:青空文庫