・・・それには、この詩形が国語を構成する要素としての語句の律動の、最小公倍数とか、最大公約数とかいったようなものになるという、そういう本質的内在的な理由もあったであろうが、また一方では、はじめはただ各個人の主観的詠嘆の表現であったものが、後に宮廷・・・ 寺田寅彦 「俳句の型式とその進化」
・・・そして、トルーマンの公約が選挙のゼスチュアに終らないことを監視している。慣例的な二大政党制はアメリカでうちやぶられた。民主的な人民は、事情によっては彼らの票を集中するウォーレスの党をもっているのであるから。 わたしたちは、こういう事実か・・・ 宮本百合子 「新しい潮」
・・・そして更にもう一つの特色は、この小説で、作者自身が自分の生きかたと文学とについて、一種の公約をしている点である。作者は、それが公約であるとは知らず、ただ心いっぱいの思いで、悲しい同胞よ、わたしはいつかきっとあなたがたの、もっとよい友となる、・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第一巻)」
・・・既に、米の三合配給などを公約した婦人たちは、途方にくれる立場にさらされている。自由党はそのような公約はしないといい、進歩党は「俺は知らないよ」といい、社会党は、落選代議士の公約であるという説明を与えている。婦人代議士は、私たち日本の婦人があ・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・つい先頃の総選挙のとき、三合配給などを公約した候補者について、選挙が終ってからすぐ、新聞社が、三合配給の公約をどうするか、という題目で質問しました。すると、三合配給の公約はしない、現在二合一勺を確保すると云っただけだという答や、「俺は知らん・・・ 宮本百合子 「公のことと私のこと」
・・・トルーマンが公約した民主的政策が実現されるか、それともブルジョア政党らしいジェスチュアに終るかということに対して注目し監視しているのは、アメリカの民衆ばかりではないのである。 このたびの大統領選挙が世界の視聴を集めたのは、デューイとトル・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・ゆうべNHKの街頭録音は、「政党は選挙公約の実現に努力したか」という題目であった。「はい、そこにいらっしゃるお若い方」と指されて答えた人は自由党支持者であったが、意見として、自由党は少し言論の圧迫をしすぎると思います、と答えた。自由党の支持・・・ 宮本百合子 「しかし昔にはかえらない」
・・・そのために、すべての保守的な政党の立候補者たちは、食糧だけは引きうけると公約した。婦人立候補者たちは、あれほどくりかえして女のことは女にこそわかり思いやれるのだから、婦人の辛苦を解決するためには婦人代議士を、と演説した。そして、婦人たちの投・・・ 宮本百合子 「世界の寡婦」
・・・人民の日常生活安定を確保することについての政府の公約。それらの日本人民の民主的生活をうち立てるための柱は、こんにちまで、三段か四段の過程をもって、次第に削られて来た。そして、帝国主義というものの矛盾としてあらわれるそのような二枚刃のカンナの・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
・・・山口シヅエという婦人代議士は、公約を果すといってバケツを下げてビラはがししている。代議士の仕事は、そこにはないはずである。東京都が市街の清掃位出来るように努力してゆくことこそ代議士の仕事である。同一労働に同一賃銀を云う婦人代議士もある。しか・・・ 宮本百合子 「春遠し」
出典:青空文庫