• ･･･それなら、こんどは様子を、それとなく内偵してみてくれ、もし人ちがいだと、醜態だから、と妹まで一緒になって、大騒ぎでした。」「妹さんも、あるのですか。」私のよろこびは、いよいよ高い。「ええ、私と四つちがうのですから、二十一です。」･･･ 太宰治 「新樹の言葉」

• ･･･君は、夕方あらかじめ、僕の家の様子を、内偵しに来たのだ。それにちがいない。君は、僕の家のぐるりをも、細密に偵察した。お隣りの、あのよく吠える犬が、今夜に限って、ちっとも吠えないところを見れば、君は、ゆうべ、あの犬に毒饅頭を食わせてやったにち･･･ 太宰治 「春の盗賊」

出典：青空文庫

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