・・・ 三 教養の読書と専門職能の読書 読書には人間教養のためのものと、社会において分担すべき職能のためのものとある。後者に関してはその種類が多様であるのと、技術知の習得に関するので、特に挙げてあげつらうことができない。た・・・ 倉田百三 「学生と読書」
・・・婦人も男子と同じく、その天分にしたがって、社会生活の職分を分担すべきである。それによって生活の充実と向上とまた個性の発展とをはかるべきである。実際今日においては職業婦人は有閑婦人よりも、その生命の活々しさと、頭脳の鋭さと、女性美の魅力さえも・・・ 倉田百三 「婦人と職業」
・・・即ち敬愛は夫婦の徳にして、この徳義を修めてこれを今日の実際に施すの法如何と尋ぬるに、夫婦利害を共にし苦楽喜憂を共にするは勿論、あるいは一方の心身に苦痛の落ち来ることもあれば、人力の届く限りはその苦痛を分担するの工風を運らさざるべからず。いわ・・・ 福沢諭吉 「日本男子論」
・・・メーデーが近づくと、モスクワ・ソヴェト文化部は組織的にプロレタリア画家団体にその仕事を分担させたのだ。 ほとんど夜中まで広場中に鳴り渡った華やかな音楽は、ソヴェト音楽家達のメーデーである。 例年作家団体は、デモに参加して数十万の勤労・・・ 宮本百合子 「インターナショナルとともに」
・・・赤軍の活動についても、プロレタリア作家は政治的に、文化的に、独自の分担を理解して結びつかなければならない。 具体的に問題を調べて来て見ると、プロレタリア作家たちは、これまでの活動方法の上にいくつかの欠点を発見した。 例えば一九二九年・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ 英語、ドイツ語は寿江子、フランス語はM子と分担してヨチヨチやって貰って、自分は日本語専門でやります。ところが寿江子の英語もまだまだでね。努力だけは買ってやります。父の本のために三十枚ほど彼女もかきました。 私は何だか、あけましてお目出・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・彼女自身役に立てる道はなくても、同じ仕事の他の方面を分担している人々が、万一需めているかもしれない。――「ああ、それが好い、あなた××の古い出の方で×夫人という方――御存じじゃないでしょうね、この方に一つ紹介を書いて見ましょう、範囲のひ・・・ 宮本百合子 「沈丁花」
・・・ソヴェト式に自分たちの仕事を分担し組織する能力と習慣とをもった農村出身者たちは、東ドイツの村落へ行っても、その能力を発揮した。勤労者の技術学校があるということは、そこの共学の教室へ娘たちを愉快に通わせたのみでなかった。「春」という小説にかか・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・もし健康に自信のない妻であるならば、共稼ぎと主婦の労苦を二重に負って病気したとき、その不安は誰が分担してくれるであろう。 すべての人民は働く権利がある、ということが男女差別の扱いなく行われ、すべての働いて生きる者は必要な社会保険によって・・・ 宮本百合子 「世界の寡婦」
・・・ 粉のように飛んで、光のように、人間共にからみつく、あの――ヴィンダー 仕事は分担だ。騒ぐな。ところへ、カラ、駆けて来る。カラ ああ、貴方がた。――その様子では、私の虫の知らせが当ったかしら。ミーダ 愉快なことが起ろ・・・ 宮本百合子 「対話」
出典:青空文庫