・・・を読む女のひとの間に和歌と習字との流行が擡頭している事実を考え、またそのことと、今度平生文相が行おうとしている学制改革案で男の学生には「労働証」女の学生には「家政証」を制定することとを思いあわせ、私は自分もひとりの女として胸におさめ切れぬ何・・・ 宮本百合子 「歌集『集団行進』に寄せて」
・・・ 考えてみると、このようにして日本の児童が新歴史教科書をもつようになった事実は、決してただ国民学校の一課目の教科書が新しく制定されたというだけの意味ではない。全日本の私たち、すべての人間が、これまでいく久しい歳月の間、民主日本の発足とと・・・ 宮本百合子 「『くにのあゆみ』について」
・・・封建の専制支配を堅めるために作られた日本の治安維持法は、制定されるとき、山本宣治の血を流したばかりではすまなかった。はじめから理において勝つべき根拠を失っていて、三宅正太郎によってさえも悪法として警戒されていた治安維持法は、過去十数年間の日・・・ 宮本百合子 「現代の主題」
・・・然しソヴェトは革命の翌日から着々土地法を制定した。第一条 ロシア社会主義連邦ソヴェト共和国領域内ニオケル土地、地中埋蔵物、水域、森林オヨビ生ケル自然力ニ対スル私有権ハ永久ニ之ヲ廃止ス。第二条 土地ハ一切ノ賠償ナクシテ今日限リ全労働大・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ 従来の誤った結婚観念、習慣、制度を改正し、簇出しつつある多くの不正、不幸を取除くために正当な離婚法が制定されることは急務です。然し、究極に於て各人の叡智と愛との根源に還る問題ではありますまいか。 人類の最も本質的な、最も純粋である・・・ 宮本百合子 「心ひとつ」
・・・吉田内閣がいくらかでも、民主的な要素の加わった憲法を制定して、自分達の政治の方向が民主的であるかのようにポーズすること、これは保守的な内閣にとってかくことのできない一つの仕事でした。憲法審議のための委員会に一人二人の婦人代議士が出席していた・・・ 宮本百合子 「今度の選挙と婦人」
・・・政府は一方において労働法の改悪、公務員法案の改正、軽犯罪法の制定、教育の民主化をあやうくする教育委員会法案などをすすめている。これらすべては政権の買弁的性質の増大とともに一般の批判にさらされる立場におかれている。日本の人民は今日においてはじ・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・近頃になってからのドイツでは、そのノーベル賞をドイツ人が受けることを禁じ、ドイツ民族文化、文芸の最高賞としてゲーテ賞を制定したことは、当時一般の人々に何となく理解しがたい印象を与えた事実であった。あたり前の考えで云えば、一民族の誇りというも・・・ 宮本百合子 「今日の文学と文学賞」
本年の建国祭を期して文化勲章というものが制定された。これは人も知る如く日本で始めてのことである。早速絵では竹内栖鳳や横山大観がその文化勲章を授与され、科学方面でも本多博士その他が比較的困難なく選ばれた。文学の分野に於ては、・・・ 宮本百合子 「今日の文学の鳥瞰図」
・・・ 文芸懇話会が、文学の隆盛のための組織としてはそれ自身矛盾を包んでいることは既に明らかにされたのであったが、一九三七年という年は、更に建国祭を期して文化勲章が制定せられ、帝国芸術院というものが設立され、文芸懇話会は創立四年目に発展的解消・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
出典:青空文庫