・・・それ以外の社会改良、労資協調的温情はかえって、理想社会の到達を遅らすのみである。エンゲルスはマルクスと、半世を献身的友情をもって共産主義宣伝のために働いた。『弁証法と自然』において、唯物弁証法を発展させ、『英国における労働階級の境遇』におい・・・ 倉田百三 「学生と教養」
・・・ それには、たしかに、新しい感覚があった。協調ではないのである。独裁である。相手を例外なくたたきつけるのである。金持は皆わるい。貴族は皆わるい。金の無い一賤民だけが正しい。私は武装蜂起に賛成した。ギロチンの無い革命は意味が無い。 し・・・ 太宰治 「苦悩の年鑑」
・・・ブックマン運動とよばれるようになっていたこの運動がアメリカで勢力を得てきたのは、第二次大戦中、ぬけめのないブックマン博士がこの運動を宗教問題から社会運動にきりかえて、労資協調を主張しはじめてからのことである。ブックマン博士は、一九三九年には・・・ 宮本百合子 「再武装するのはなにか」
・・・彼女が持っていたかも知れない小さい人道主義的な立場に立つ協調主義はけとばされて、地主資本家の利益のはっきりした擁護者保守党のネヴィル・チェンバーレンが労働大臣に任命されている。 男と同じ長時間、女性の生理にとっては男よりもこたえる労力、・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
・・・ ブルジョア自身の利益である間ラジオも新聞も劇場も世界平和主義、協調主義を放送する。それがブルジョアに不便となれば、忽ち理屈のあるらしい口実によって、まるで逆のことをドンドン宣伝するのです。 われわれ働くものにとっては、常にわれわれ・・・ 宮本百合子 「「モダン猿蟹合戦」」
・・・とか「平和のために労資協調を致しましょう」とかいうものです。現代の戦争が資本主義そのものの病弊であるとき、その原因が合理的にとりのぞかれないで、どうして本当の平和があり得ましょう。もうだれでも、これまでのままの資本主義の社会では人民の幸福が・・・ 宮本百合子 「求め得られる幸福」
・・・訓練ある英国労働組合はほとんど全線にわたって資本家国家のかくの如き要求を合理的と認め、現に賃銀値下げに協調しているではないか。この合理化を非合理化だと叫んでいるのは、英国人の商魂という特殊性を没却した第三インターナショナルの指令のままに誤っ・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
出典:青空文庫