・・・ 例えば衛生に関するフィルムでどんなのがあるか、既にロシアの油虫は有名である、南京虫も随分いる。それでキノを見ると、とても大きくて、まるで人間が食われそうな南京虫がフィルムの中に出て来る。これを退治しなければたまらない。そういうものは主・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・「何しろ沢山の党員だし、古い歴史をもった党だからタマには蛆虫も湧くんさ。南京虫はどこにでもいる。」 コンムニストが善玉揃いでないということはその限りにおいて真実だ。しかし、この少くとも第一部には、蛆虫も時には湧かせつつドイツの党がどれだ・・・ 宮本百合子 「プロレタリア文学における国際的主題について」
・・・ところ嫌わず南京虫の大群が横行している。フロレンスがみたどこの貧民窟よりも不潔である。日常品の欠乏ははなはだしく、ビールの空壜にローソクがたっていた。たらい、タオル、シャボン、箒、盆、皿、ナイフ、フォーク、スプーンなどという必需品さえなかっ・・・ 宮本百合子 「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」
・・・ スムールイの黒トランクの中には『ホーマー教訓集』『砲兵雑記』『セデンガリ卿の書翰集』『毒虫・南京虫とその駆除法、附・此が携帯者の扱い方』などという本があった。始めの方がちぎれて無くなってしまっている本。終りがない本。そういう本がつまっ・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・初めはマカロニ箱にこしかけて、『ホーマー教訓集』『毒虫、南京虫とその駆除法、附・之が携帯者の扱い方』などという本を音読させられた。が、だんだん『アインホー』を読み、『捨児トム・ジョーンズの物語』を読み、「知らず知らずの間に読みなれて」彼にと・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」
出典:青空文庫