・・・しかし、最大の形容詞と最高の表現がくりかえしくりかえし、下らない落語の中にまで交って日夜反覆されると、それは自然、言葉としての生きた命を失って、ただのラジオの声或は騒音になってしまう。騒音には誰しもあきているのだから、調和のある音楽の音の方・・・ 宮本百合子 「ラジオ時評」
・・・に現れている考えを反覆している。延子とその従妹との対照、お延が伯父から小切手を貰うところの情景などで、漱石は生彩をもってそのことを描いているのである。 結婚すれば女が人間としてわるくなる、という漱石の悲痛な洞察は、だが、漱石の生涯ではつ・・・ 宮本百合子 「歴史の落穂」
・・・時にはテーマの屈折角度から、時には黙々たる行と行との飛躍の度から、時には筋の進行推移の逆送、反覆、速力から、その他様々な触発状態の姿がある。未来派は心象のテンポに同時性を与える苦心に於て立体的な感覚を触発させ、従って立体派の要素を多分に含み・・・ 横光利一 「新感覚論」
出典:青空文庫