・・・ジイドは、この時ゴム栽培特許権所有者組合の横暴と一年間闘い、商務大臣の偽の誓約に憤った。「人間こそ先ず建直されねばならぬ」だがそれはどんな道によってであろうか。ジイドの考えによれば「人の最も個性的な状態にいることは、なによりも優れた公益をは・・・ 宮本百合子 「ジイドとそのソヴェト旅行記」
・・・川島忠之助は正金銀行の支配人として活躍したし、東海散士、柴四朗は農商務次官、代議士、大阪毎日新聞初代社長、外務参事官、閔妃事件で下獄したこともある。馬場辰猪は、明治四年頃ロンドンで法律を学び、自由党解散の前年「天賦人権論」を著し、獄中生活の・・・ 宮本百合子 「文学における今日の日本的なるもの」
・・・ 三間打ち抜いて、ぎっしり客を詰め込んだ宴会も、存外静かに済んで、農商務大臣、大学総長、理科大学長なんぞが席を起たれた跡は、方々に群をなして女中達とふざけていた人々も、一人帰り二人帰って、いつの間にか広間がひっそりして来た。 もう十・・・ 森鴎外 「里芋の芽と不動の目」
出典:青空文庫