・・・いたわり撫でるつもりで、ひっ掻いている。塚本虎二氏の、「内村鑑三の思い出」を読んでいたら、その中に、「或夏、信州の沓掛の温泉で、先生がいたずらに私の子供にお湯をぶっかけられた所、子供が泣き出した。先生は悲し相な顔をして、『俺のすることは・・・ 太宰治 「作家の像」
・・・以下は日本に於ける唯一の信ずべき神学者、塚本虎二氏の説であるが、「名称に依っても、ほぼ推察できるように、新約のサタンは或る意味に於いて神と対立している。即ち一つの王国をもって之を支配し、神と同じく召使たちをもっている。悪鬼どもが彼の手下であ・・・ 太宰治 「誰」
・・・ 十二 映画錯覚の二例 塚本閤治氏撮影の小型映画を見た時の話である。たしか富士吉田町の火祭りの光景を写したものの中に祭礼の太鼓をたたく場面がある。そのとき、もちろん無声映画であるのにかかわらず、不思議なことには、・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」
・・・その頃の『文章世界』には塚本享生、片岡鉄兵、岡田三郎、塚原健次郎などという人達が始終投書していて、いつでも、特等というのか一等というのか、特に他の人達のより大きく別の欄へ掲載されるので、それで記憶に残っているような気がする。そんなに『文章世・・・ 宮本百合子 「昔の思い出」
出典:青空文庫