・・・度で上がりまた下がりつつあるか、その速度が恒同であるか、変化しているとすればどう変化しているか、そういう変化の時間的割合いかんによって感覚は多種多様になるであろう、それでもしも温度に関する感覚が若干の変数の数値で代表されうるとすれば、これら・・・ 寺田寅彦 「科学と文学」
・・・これは要するに適当に選ばれたる有限の独立変数にてある程度までいわゆる原因を代表し、いわゆる方則によりて結果の一部を予報し得るに依る。これにはいわゆる原因と称するものの概念の抽象選択の仕方が問題となる。これは結局経験によって定まるものにして、・・・ 寺田寅彦 「自然現象の予報」
・・・この考えでは方則を云い表わす方程式は初めから有限の独立変数を含む有限の項から成るものである。しかし厳密に云えば、かくのごとき抽象的の状況は実現する事の出来ぬものである。もう一つの見方は、この方程式の後尾へそれ自身に小さくまた沢山の場合の平均・・・ 寺田寅彦 「方則について」
出典:青空文庫