・・・彼女には商売気を必要としない生活の好条件があり、普通ならば、遊惰に消されるその好条件を、学問的に活かして社会的なあるねうちを与えているところに、彼女の仕事の価値が輝いているといえます。 吉井徳子さんの場合は、幾重にもたたまってかぶさって・・・ 宮本百合子 「現実の道」
・・・そういう親は、その人々なりの善意からではあっても、やはり娘一人を家から好条件に片づけ、更にその良人との生活でもちゃんと片づいて置かれたところに落着くことを目的としているわけである。 自分たちの生涯の問題として、結婚をそういう風には考えて・・・ 宮本百合子 「これから結婚する人の心持」
・・・この手紙には何一つ特別珍しいことやとびつくような好条件というものがなくて、いかにも仕事に人を入用としているらしい手紙だ。これにきめましょう、と。ジェーンは、外の手紙がどれも何かうまいことのありそうな文句や誘うような好条件を並べているのを見て・・・ 宮本百合子 「働く婦人の新しい年」
出典:青空文庫