・・・ 定期刊行の雑誌のようなものがペンクラブによって国際的に発行されることも、文学に携るものにとって大きいよろこびであり、資料となるにちがいない。国際ペンクラブが世界各国から、それぞれの国及その植民地で発売又は輸入を禁ぜられている書籍目録を・・・ 宮本百合子 「ペンクラブのパリ大会」
・・・そしてちょうど私の行った時最終日であった有名なニージュニの定期市――ゴーリキイが十代の時分この定期市の芝居で馬の脚をやったということのある定期市も、その一九二八年が最後で閉鎖された。ペルシャやカスピ海沿岸との通商関係は進歩して古風な酔どれだ・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイによって描かれた婦人」
・・・ヴォルガ通いの汽船の皿洗いをし、聖画屋の小僧となり、ニージニの定期市での芝居小屋で、馬の脚的俳優となったりした。日本では西南の役があった次の年、一八七八年からの五、六年は少年ゴーリキイにとって朝から晩まで苦しい労働の時代であった。この時代、・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・ニージュニノヴゴロド市は昔からの定期市の他に、現代ではСССР第一の自動車製造工場で有名になった。そこで製作されるソヴェト・フォードは、小さい赤旗をヘッド・ライトの上にひるがえしつつソユーズキノ週報で先ず映画館の映写幕の上にころがり、つづい・・・ 宮本百合子 「モスクワの辻馬車」
・・・ この製図工見習もものにならず、ゴーリキイはその後汽船につとめ、日本でいえば仏師屋のような聖像作りの仕事場で働き、人夫頭となり、ニージュニの市で毎年開かれる定期市の芝居小屋で馬の足までつとめた。 彼のまわりはどっちを見ても無智と当て・・・ 宮本百合子 「逝けるマクシム・ゴーリキイ」
・・・たしかにイギリス人は公共慈善事業への応分の寄附は、犬一匹飼えば七シリング六ペンスの税を払わなければならないと同様定期支出の一部と認める伝統をもって来た。しかし本来の性質上その英国に於てさえ慈善心の発動にはいかに技巧的な絶間ない刺戟が必要かと・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
出典:青空文庫