・・・ 軍隊内における組織的活動、軍国主義と資本主義のためにする軍隊の使用に反対する啓蒙的な宣伝は、兵営に這入ろうとする革命的な青年たちのやらねばならぬ仕事である。 ブルジョア軍隊を打倒することなくしては、プロレタリア革命は完全に勝利に到・・・ 黒島伝治 「入営する青年たちは何をなすべきか」
・・・文学の全×××宣伝力を挙げて、労働者農民に力強く喰い入ることを心がけねばならない。 ××××戦争は、それを、プロレタリアートのブルジョアジーに対する××に転化し得る可能性を多分に持っている。又、プロレタリアートは、それを転化するように努・・・ 黒島伝治 「反戦文学論」
・・・この思い切った宣伝が廉価出版の気勢を添えて、最初の計画ではせいぜい二三万のものだろうと言われていたのが、いよいよ蓋をあけて見るとその十倍もの意外に多数な読者がつくことになった。 思いもよらない収入のある話と私が言ったのは、この大量生産の・・・ 島崎藤村 「分配」
・・・ましてそれを他人に宣伝するまでになった人はいよいよ幸福である。私にはすべてそれらのものが信ぜられず、あらが見えるように思われてならない。あるものは持って廻った捏造物だ、あるものは虚偽矯飾の申しわけだ、あるものは楯の半面に過ぎず、あるものはた・・・ 島村抱月 「序に代えて人生観上の自然主義を論ず」
・・・ チャリネの音楽隊は、村のせまい道をねりあるき、六十秒とたたぬうちに村の隅から隅にまで宣伝しつくすことができた。一本道の両側に三丁ほど茅葺の家が立ちならんでいるだけであったのである。音楽隊は、村のはずれに出てしまってもあゆみをとめないで・・・ 太宰治 「逆行」
・・・下手くそにいっていたとしても、むしろ、この方を宣伝して呉れ。提灯をもつことなんて一番やさしいことなんだから。二、僕と君との交友が、とかく、色眼鏡でみられるのは仕方がないのではないかな。中畑というのにも僕は一度あってるきりだし、世間さまに云わ・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・ 部屋の壁には、無尽会社の宣伝ポスター、たった一枚、他にはどこを見ても装飾らしいものがない。カーテンさえ無い。これが、二十五、六の娘の部屋か。小さい電球が一つ暗くともって、ただ荒涼。怪力 「あそびに来たのだけどね、」と田・・・ 太宰治 「グッド・バイ」
・・・その下にどこかの天ぷら屋の宣伝札らしいものがある。火山に天ぷらは縁があると思えば可笑しい。 岩塊の頂で偶然友人N君の一行に逢った。その案内で程近い洞穴の底に雪のある冷泉を紹介された。小さな洞穴の口では真冬の空気と真夏の空気が戦って霧を醸・・・ 寺田寅彦 「浅間山麓より」
・・・そうして、西洋の芸術理論家は、こういうものの存在を拒絶した城郭にたてこもって、その城郭の中だけに通用する芸術論を構成し祖述し、それが東洋に舶来し、しかも誤訳されたりして宣伝されることもあるであろう。 四十年前の田舎の亀さんはやはりいちば・・・ 寺田寅彦 「生ける人形」
・・・近代になって、これが各種の伝染病菌の運搬者、播布者として、その悪名を宣伝されるようになり、その結果がいわゆる「蠅取りデー」の出現を見るにいたったわけである。著名の学者の筆になる「蠅を憎むの辞」が現代的科学的修辞に飾られて、しばしばジャーナリ・・・ 寺田寅彦 「蛆の効用」
出典:青空文庫