・・・の主人公としてイタリー系のジョボロ少佐をアダノの市に見出していることには意味がある。ハーシーにとって、アメリカが国際的国家であることをよろこび得る理由は「ジョボロ少佐のような人々をもつ」可能があるからである。こんにちの世界で語られている崇高・・・ 宮本百合子 「「ヒロシマ」と「アダノの鐘」について」
石田小介が少佐参謀になって小倉に着任したのは六月二十四日であった。 徳山と門司との間を交通している蒸汽船から上がったのが午前三時である。地方の軍隊は送迎がなかなか手厚いことを知っていたから、石田はその頃の通常礼装という・・・ 森鴎外 「鶏」
・・・「今日はおれ、大尉の肩章をつけてるけれど、本当はもう少佐なんですよ。あんまり若く見えるので、下げてるんです。」 少年に見える栖方のまだ肩章の星数を喜ぶ様子が、不自然ではなかった。それにしても、この少年が祖国の危急を救う唯一の人物だと・・・ 横光利一 「微笑」
出典:青空文庫