・・・○わすれて行った本 届ける つい そこだって○なべやきうどんを云いつけにゆく○待っている 約束のハガキのよみちがい○お菓子のこと「あら それをみんなたべちゃっちゃ駄目よ」○気持よさそうなので ・・・ 宮本百合子 「無題(十三)」
・・・的団体の事や、マルセイユで始て西洋の町を散歩して、嘘と云うものを衝かぬ店で、掛値と云うもののない品物を買って、それを持って帰ろうとして、紳士がそんな物をぶら下げてお歩きにならなくても、こちらからお宿へ届けると云われ、頼んで置いて帰ってみると・・・ 森鴎外 「かのように」
・・・会杜の徽章の附いた帽を被って、辻々に立っていて、手紙を市内へ届けることでも、途中で買って邪魔になるものを自宅へ持って帰らせる事でも、何でも受け合うのが伝便である。手紙や品物と引換に、会社の印の据わっている紙切をくれる。存外間違はないのである・・・ 森鴎外 「独身」
出典:青空文庫