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・・・じてその学を首唱し、また前野蘭化、桂川甫周、杉田いさい等起り、専精してもって和蘭の学に志し、相ともに切磋し、おのおの得るところありといえども、洋学草昧の世なれば、書籍はなはだ乏しく、かつ、これを学ぶに師友なければ、遠く長崎の訳官についてその・・・
福沢諭吉
「慶応義塾の記」
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・・・よもや西洋で僕の師友にしていた学者のような、オルガニックな欠陥が出来たのではあるまい。そうして見れば飾磨屋は、どうかした場合に、どうかした無形の創痍を受けてそれが癒えずにいる為めに、傍観者になったのではあるまいか。 若しそうだとすると、・・・
森鴎外
「百物語」