・・・ 数年前山火事に関する若干の調査をしたいと思い立って、目ぼしい山火事のあったときに自分の関係の某官衙から公文書でその山火事のあった府県の官庁に掛け合って、その山火事の延焼の過程をできるだけ詳しく知らせてくれるように頼んでやったことがあっ・・・ 寺田寅彦 「函館の大火について」
・・・科業は、いろは五十韻より用文章等の手習、九々の数、加減乗除、比例等の算術にいたり、句読は、府県名・国尽・翻訳の地理・窮理書・経済書の初歩等を授け、あるいは訳書の不足する所はしばらく漢書をもって補い、習字・算術・句読・暗誦、おのおの等を分ち、・・・ 福沢諭吉 「京都学校の記」
・・・十一府県の部分的な調査でさえ、中学生たちの中「働きつつ学ぶもの」が四一五二人、「長期欠席」は六〇一〇人でした。東京の朝の街に四時ごろから納豆をうり歩く十歳から十五歳までの少年たちがふえ、全国で労働している少年は一〇五万人もあります。少女はま・・・ 宮本百合子 「親子いっしょに」
・・・一、三〇九名負傷者 三一四、〇四一名家屋全焼全壊 二、三三三、三八八戸家屋半焼半壊 一一〇、九二八戸罹災者 八、〇四五、〇九四名 空襲被害の比較的大きくない府県は、僅に九府県にすぎない。四面海に囲・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・閭がはたして台州の主簿であったとすると日本の府県知事くらいの官吏である。そうしてみると、唐書の列伝に出ているはずだというのである。しかし閭がいなくては話が成り立たぬから、ともかくもいたことにしておくのである。 さて閭が台州に着任してから・・・ 森鴎外 「寒山拾得」
出典:青空文庫