・・・ 右の如く満一箇年、きびしき摂生、左肺全快、大丈夫と、しんから自信つきしのち、東京近郊に定住。 なお、静養中の仕事は、読書と、原稿一日せいぜい二枚、限度。一、「朝の歌留多。」 一、「猶太の王。」 右の二作、・・・ 太宰治 「HUMAN LOST」
・・・例えば女の天性妊娠するの約束なるが故に妊娠中は斯く/\の摂生す可しと、特に女子に限りて教訓するが如きは至極尤に聞ゆれども、男女共に犯す可らざる不徳を書並べ、男女共に守る可き徳義を示して、女ばかりを責るとは可笑しからずや。犬の人にかみつきて却・・・ 福沢諭吉 「女大学評論」
・・・然るに今の世の不学の徒は、汽車に乗りて汽の理をしらず、電信を用いて電気の性質を知らず、はなはだしきは自身の何物たるを知らずして、摂生の法を誤る者あり。なおはなはだしきは、医は意なりと公言して、医術は憶測に出ずるものかと誤まり認め、無稽の漢薬・・・ 福沢諭吉 「物理学の要用」
出典:青空文庫