・・・その全能力をあげて国政の枢機に参与し国防の計画に貢献するのが当然ではないかと思われるのに、事は全くこれに反するように思われるのである。科学は全く受動的に非科学の奴僕となっているためにその能力を発揮することができず、そのために無能視されてしか・・・ 寺田寅彦 「自由画稿」
・・・もっともこれを忘れているおかげで今日を楽しむことができるのだという人があるかもしれないのであるが、それは個人めいめいの哲学に任せるとして、少なくも一国の為政の枢機に参与する人々だけは、この健忘症に対する診療を常々怠らないようにしてもらいたい・・・ 寺田寅彦 「天災と国防」
・・・ ペンクは名実共にゲハイムラートであって、時々カイザーから呼立てられてドイツの領土国策の枢機に参与していたようである。今日はカイザーに呼ばれているからと云ったような言葉を何遍も聞いたような記憶がある。 いつか海洋博物館での通俗講演会・・・ 寺田寅彦 「ベルリン大学(1909-1910)」
出典:青空文庫