・・・これは妥当な註解であると思われる。然しながら、エンゲルスの手紙からの上記の引用を基礎として、エンゲルスは、「バルザックのリアリズムは革命的であると見ているのである」とやつぎ早に結論しているのは、理解に或る困難を引おこされる。ゾラのバルザック・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・佐佐木信綱氏は、ああいう学派の歌人として万葉の専門家であり、研究著書、註解など権威ある労作がある。だが、それらの著作の完成した数年前は、今ほど万葉が一般に注目されていなかった。林房雄氏、小林秀雄氏等が万葉の精神などということは当時なかったの・・・ 宮本百合子 「文学上の復古的提唱に対して」
・・・後に自殺した或る師範学校の生徒の家へ集って、チェルヌイシェフスキイの註解付のアダム・スミスの書物を研究するのであった。アダム・スミスの読解は、ゴーリキイをひきつけなかった。「よその小父さん」の幸福と安逸とのために自分のすべてを消耗しているも・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・そこでは、チェルヌイシェフスキイの註解附のアダム・スミスの書物を研究するのであった。アダム・スミスの読解は、ゴーリキイをひきつけなかった。「よその小父さん」の幸福と安逸とのために自分のすべてを消耗しているものにとっては実に明らかな事実に・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」
出典:青空文庫