・・・ 私には、こういう幸福、不幸の対比がそれを書いた人自身が自分の生き方、闘いの外部的な表れかたの形の判断の上にも適用するのであろうと思い、不安を感じた。 何故なら、新しい歴史的世代がそれぞれの事情の中で、どうしても経て克服してゆかなけ・・・ 宮本百合子 「「ゴーリキイ伝」の遅延について」
・・・私が最近に経た鍛錬は、一人の私のような生き方をしてきた作家には、十分の価値をもって摂取されるものですし、ずいぶん無駄なく勉強もしたし、着々と作品の計画もたてはじめて居ります。私はやっぱり生活を愛し、たくさん笑い、心の底に音楽を感じながら、例・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・思うに、今日の現実生活のうちで、真に人間として、芸術家として自分の生き方を考え、求めている作家たちならば、自分たちの境遇がインテリゲンツィアとしてもどんなに大衆の一員としての共同条件に圧され、支配されているか、はっきり痛いほどわかるはずだと・・・ 宮本百合子 「今日の文学に求められているヒューマニズム」
・・・かかる観念の上に道を求めたヒューマニズムが、日常不本意な勤務や労働や従順を強いられている一般市民の人間性に、その生き方として行動の指針となり得なかったのは当然であった。 三木氏によって云われた「主観性の昂揚」と「理論への情熱」という標語・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・ 愛するものがあってもなくても、人間一人として、一人の女として、また一人の男として、どういう生き方をつらぬきたいと願っているか。その願いで結ばれて、互いの愛で励まし合える時に、愛の純潔ということ、結婚生活の純潔性ということも実現するので・・・ 宮本百合子 「社会生活の純潔性」
・・・私どもはロシアの勤労階級の人々と同じ二十世紀の世界歴史の中に生きて来たのです、けれども、われわれの今まで生きて来た生き方は勿論のこと、民主主義の時代だという今でも、なかなか本当の民主主義になっておりません。憲法が変ったって、いきなり、すべて・・・ 宮本百合子 「社会と人間の成長」
・・・を完成し、国際ペンクラブ東京招致に成功したりしているのは、その実際の生き方において透谷とは対蹠的な方法を選んだ計画性のためであることも、また、私どもにつたえられている日本文学の財産の性質を吟味する上に意味ふかいことである。 今日のヒュー・・・ 宮本百合子 「十月の文芸時評」
・・・そう云う人間の生き方と、自分が求めている生き方とが、ぴったりするか、しないものかと云うところから選択の標準が出てくる訳です。 女と男とがお互いに交渉を持ってましなものにして行こうとするものとして、経済問題が出て来る。女の人の負うべき努力・・・ 宮本百合子 「女性の生活態度」
・・・一番よい生き方は人生を愛し、自分の一生の価値を十分に発揮することなのです。いままでの何々女史と呼ばれるような人は高いところに止っていて、現実の私たちの生活のために何もしてくれない。それは日本の従来の世の中では、有名になったり、地位をきずいた・・・ 宮本百合子 「人生を愛しましょう」
・・・なるが故にではなく、ごく古くからありふれた習俗の枠にはまった考えかたで、恋愛と青春の放埒と漠然混同し、その場その場で精神と肉体とを誘い込む様々の模造小路を彷徨しつつ、身を堅める時は結婚する時という風な生き方である。 そういう風の吹くまま・・・ 宮本百合子 「成長意慾としての恋愛」
出典:青空文庫