・・・香木との相違は某若輩ながら心得居る、泰勝院殿の御代に、蒲生殿申され候は、細川家には結構なる御道具あまた有之由なれば拝見に罷出ずべしとの事なり、さて約束せられし当日に相成り、蒲生殿参られ候に、泰勝院殿は甲冑刀剣弓鎗の類を陳ねて御見せなされ、蒲・・・ 森鴎外 「興津弥五右衛門の遺書」
・・・香木との相違は某若輩ながら心得居る、泰勝院殿の御代に、蒲生殿申され候は、細川家には結構なる御道具あまた有之由なれば拝見に罷いずべしとの事なり、さて約束せられし当日に相成り、蒲生殿参られ候に、泰勝院殿は甲冑刀剣弓鎗の類を陳ねて御見せなされ、蒲・・・ 森鴎外 「興津弥五右衛門の遺書(初稿)」
・・・、たとえば「甲冑」を円筒上の人物に着せたとなると、その甲冑は、四肢などに対するとは全く段違いの細かな注意をもって表現されている。甲冑の材料である鉄板の堅い感じ、その鉄板をつぎ合わせている鋲の、いかにもかっちりとして並んでいる感じ、そういう感・・・ 和辻哲郎 「人物埴輪の眼」
出典:青空文庫