・・・お姫さまは、その皇子をまだごらんにならなかったばかりでなく、その国すら、どんな国であるか、お知りにならなかったのです。「さあ、どうしたものだろうか。」と、お姫さまは、たいそうお考えになりました。それには、だれか人をやって、よくその皇子の・・・ 小川未明 「赤い姫と黒い皇子」
・・・すると、この国の皇子にしてやる。」と、じいさんのいった言葉を思い出し、少年は、じいさんにあおうと思って、「眠い町」に旅出をしました。 幾日かの後「眠い町」にきました。けれども、いつのまにか昔見たような灰色の建物は跡形もありませんでし・・・ 小川未明 「眠い町」
・・・ 十六、七日。皇子と乞食。 十九――二十一日。アンクル・トムの小舎。 観衆の年齢に応じて、脚本の内容はだんだん複雑になって来ている。それより日本女を羨ましがらせたのは、その下の「五月二十九日からの切符配分」という表だ。レーニング・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
出典:青空文庫