はさんかんざいにん【破産管財人】
裁判所によって選任され、その監督下に破産財団の管理・換価・配当など一切の行為をする者。
はさんさいけん【破産債権】
破産手続きにおいて、破産財団から公平な配当を要求できる債権。破産手続き開始の決定以前の原因に基づいて生じた破産者に対する財産上の請求権がこれにあたる。
はさんざいだん【破産財団】
破産手続きの開始が決定したときに破産者の所有に属し、かつ差し押さえの対象となりうる一切の財産。破産手続きにおいて、破産債権者に配当される。
はさんせんこく【破産宣告】
旧破産法における、裁判所による破産手続き開始の宣言。平成16年(2004)の破産法改正で「破産手続開始」または「破産手続開始の決定」に改められた。
はさんてつづき【破産手続(き)】
債務者が債務を完済することができなくなった場合に、債務者の総財産をすべての債権者に公平に弁済することを目的とする裁判上の手続き。破産法に定められた破産手続き開始の申し立て権者(債権者・債務者・法人の理事・株式会社の取締役など)が裁判所に破産手続き開始の申し立てを行い、破産原因があると裁判所が認めた場合、破産手続きが開始される。破産手続きの開始が決定すると、裁判所が選任した破産管財人が、債権者の届け出た破産債権を整理・確定し、債務者の財産を破産財団として管理する。破産管財人は破産財団を換価し、配当原資があれば債権者に公平に分配する。配当が完了すると、債権者集会を経て、裁判所が破産手続きの終結を決定する。破産の申し立てを債務者が行う場合は自己破産、会社の取締役などが行う場合は準自己破産、債権者が申し立てる場合は第三者破産(債権者破産)という。債務者の財産が破産手続きの費用に満たないと裁判所が認める場合、裁判所は破産手続き開始と同時に破産手続きを終了させる(同時廃止)。 [補説]会社が倒産する場合、破産法による破産手続き以外に、会社法による特別清算手続きを経ることもできる。また、債務者の事業の再生を目的とする、会社更生法による会社更生手続きや民事再生法による民事再生手続きなどがある。民事再生手続きは個人にも適用される。こうした法的整理とは別に、裁判所が関与せず弁護士や司法書士を介して当事者間で処理する任意整理の手続きによって倒産処理が行われることもある。破産や倒産の制度は国によって異なるため、複数の国に子会社がある企業が破産する場合、子会社のある国の制度に従って手続きを行う必要がある。
はさんほう【破産法】
裁判上の破産手続きを規定している法律。平成16年(2004)に現行の破産法が制定されたのにともない、大正11年(1922)に公布された旧破産法は廃止された。現行法では、破産手続きと免責手続きが一体化されるなど手続きが簡素化され、財産の分配をより迅速・公正に行うため破産債権査定決定や役員責任査定などの制度が導入された。また、破産した個人の再起が容易になり、会社が破産した場合に労働者の債権の保護もより一層図られている。
はさんこうせいさいけんとう【破産更生債権等】
1 破産債権・再生債権・更生債権、および、これらに準ずる債権をいう。 2 《「破産更生債権及びこれらに準ずる債権」の略》金融機関が金融再生法に基づいて分類・開示する債権の区分の一つ。破産・会社更生・民事再生などの事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権、および、それに準じるものをいう。金融機関の自己査定による区分で実質破綻先および破綻先に分類される融資先への債権(実質破綻先債権・破綻先債権)がこれにあたる。