・・・この果てなく見える旅路が偶然にもわれわれの現代に終結して、これでいよいよ彼岸に到達したのだと信じうるだけの根拠を見いだすのは私には困難である。 それで私は現在あるがままの相対性理論がどこまで保存されるかという事は一つの疑問になりうると思・・・ 寺田寅彦 「相対性原理側面観」
・・・それかと言って、いつまでもなんらかこの種の方法をとらなければ、独断と独断との間の討論の終結する見込みは立たないように思われるのである。いかにめんどうでも遂行すればするだけ、あともどりはしないであろうと信ずる。しかもそのほう専門の研究者の専門・・・ 寺田寅彦 「比較言語学における統計的研究法の可能性について」
・・・が現われ、最後に、ゆるやかなあげ句で、ちょうど春の夕暮れのような心持ちで全編が終結するのである。これはもちろんラルゴかレントの拍子である。このように連句の場合では1と4が緩徐であるのに、音楽のほうでは1と4が急テンポである事自身がまたわれわ・・・ 寺田寅彦 「連句雑俎」
・・・然るに第一次大戦の終結は、かかる課題の解決を残した。そこには古き抽象的世界理念の外、何等の新らしい世界構成の原理はなかった。これが今日又世界大戦が繰返される所以である。今日の世界大戦は徹底的に此の課題の解決を要求するのである。一つの世界的空・・・ 西田幾多郎 「世界新秩序の原理」
・・・第一次欧州大戦の終結した一九一八年、イギリスは人民代表法で婦人の参政権を認め、小さいけれども文化的に水準の高いノルウェイは、それより早い一九一三年に完全な婦人参政権を実現した。ソヴェト同盟が、生産と公共的な勤労に従う男女の生活権を尊重して、・・・ 宮本百合子 「現実に立って」
・・・眺めると、決して本質的に幸福、不幸と分けられる種類のものではなく、質に於ては同一の人間的な意欲が、おかれている社会的・箇性的事情との相互的な関係によって、必然的にちがった形で表現され、従って違った形で終結したものであると云われる。 ゴー・・・ 宮本百合子 「「ゴーリキイ伝」の遅延について」
・・・ドイツが第一次大戦終結の後一九一九年ヴェルサイユ条約成立と年を同じくして、新憲法による男女二十歳以上の一般、平等、直接、無記名投票権を認めていること、および、ソヴェト・ロシアが一九一七年十一月以来生産的公益的労働によって生計を営む十八歳以上・・・ 宮本百合子 「女性の歴史の七十四年」
・・・であり、今日では計画的に支配階級がプロレタリアートの組織へその破壊を目的として送り込むもの、即ち敵の組織の積極的一部であり、プロレタリアートはそれと常に闘い、一旦打撃はうけようとも終結において常にプロレタリアートが勝利するものであるという本・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価によせて」
・・・しかし、その話は、立ち消えて、やはり同じ誌上につづけられそこで終結した。 第一部は、健康の最もわるい時期から書きはじめた。四七年の夏八月はじめに「二つの庭」を書き終ったとき、血圧が高まり、五年前に夏巣鴨の拘置所のなかでかかった熱射病の後・・・ 宮本百合子 「「道標」を書き終えて」
・・・ イカルスの物語は、人類の発展的な冒険心の肯定とその終結における否定との矛盾で、わたしたちに同じギリシア神話の中のプロメシウスの物語を思いおこさせる。巨人プロメシウスがオリンパスの神々の首長であるジュピターの神殿から火を盗んで来て、それ・・・ 宮本百合子 「なぜ、それはそうであったか」
出典:青空文庫