ころもで【衣手】
[名]《衣服の手の意から》着物の袖。たもと。多く、和歌に用いる。「妹とありし時はあれども別れては—寒きものにそありける」〈万・三五九一〉 [枕] 1 衣手をひたす意から、「ひたち」にかかる。「—常陸 (ひたち) の国の二並ぶ筑波の山を」〈万・一七五三〉 2 「あしげ」にかかる。「—葦毛の馬のいなく声」〈万・三三二八〉
ころもでの【衣手の】
[枕]袖に関する「手 (た) 」「真袖 (まそで) 」「ひるがえる」などの意から、「た」「ま」「わく」「かへる」「なぎ」などにかかる。「—田上山 (たなかみやま) の真木さく檜 (ひ) の嬬手 (つまで) を」〈万・五〇〉 「—真若 (まわか) の浦の砂地 (まなごつち) 」〈万・三一六八〉
ころもでを【衣手を】
[枕]衣を砧 (きぬた) で打つ意から、「うち」にかかる。「—打廻 (うちみ) の里にある我を」〈万・五八九〉
ころものくび【衣の領】
着物の襟。「—より針を抜き出で、箱に入れて御弟子 (みでし) に還し奉る」〈今昔・四・二五〉
ころものやみ【衣の闇】
黒い喪服。墨染めの服。「干しもあへぬ—に暗されて月ともいはずまどひぬるかな」〈新古今・哀傷〉
ころもへん【衣偏】
漢字の偏の一。「襟」「複」などの「衤」の称。
ころもや【衣屋】
僧衣を仕立て、また商う人。また、その家。「—の娵 (よめ) をしがってしかられる」〈柳多留・二二〉