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・・・私はとぼんとして、一人、離島に残された気がしたんです。こんな島には、あの怪い大鼠も棲もうと思う、何となく、気を打って、みまわしますとね。」「はあ――」「ものの三間とは離れません。宮裏に、この地境らしい、水が窪み入った淀みに、朽ちた欄・・・
泉鏡花
「半島一奇抄」
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・・・お手紙を見て驚喜仕候、両君の室は隣室の客を驚かす恐れあり、小生の室は御覧の如く独立の離島に候間、徹宵快談するもさまたげず、是非此方へ御出向き下され度く待ち上候 すると二人がやって来た。「君は何処を遍歴って此処へ来た?」と・・・
国木田独歩
「恋を恋する人」