・・・その雲の上に、金いろの立派な人が三人まっすぐに立っています。まん中の人はせいも高く、大きな眼でじっとこっちを見ています。衣のひだまで一一はっきりわかります。お星さまをちりばめたような立派な瓔珞をかけていました。お月さまが丁度その方の頭のまわ・・・ 宮沢賢治 「二十六夜」
時 神の第十瞬期処 天の第二級天の上神 ヴィンダーブラ ミーダ カラ イオイナ その他 此等の神々の使者数多。天の第二級雲の上にある宮。もくもくした灰色又は白の積雲・・・ 宮本百合子 「対話」
・・・二人の話をきいていると、まるで雲の上だね、これは母が傍からの批評です。今日、私の貧弱な常識の中に、ほんの少しばかりでも建築・美術についての内容が加えられているのは殆ど皆、こういう父の手帳を中心にしてこの団欒の遺産です。 晩年になってから・・・ 宮本百合子 「父の手帳」
・・・ 神の一声に世のすべての花はその蕾を開いて蝶は美くしい装いをこらいて舞い、雲雀は紫立つ雲の上に神の御力をたたえて歌いますじゃ。 それを人は春と名づけ冬の寒さにめげたもの達の青白い頬にも血潮の華やかな色がさいのぼって、生のあるもののす・・・ 宮本百合子 「胚胎(二幕四場)」
出典:青空文庫