・・・ たとえば、ある学者が一株の椿の花の日々に落ちる数を記録して、その数の日々の変化異同の統計的型式を調べ、それが群起地震の日々あるいは月々の頻度の変化異同の統計的型式と抽象的形式的に類型的であるという論文を発表したとする。そのような、ほん・・・ 寺田寅彦 「錯覚数題」
・・・この最大頻度の方向から左右へ各三十度の範囲内にあるものが十九匹である。つまり三十五のうちの二十八だけ、すなわち八十プロセントだけは、三十度以内まで一定の方向にねらいをつける能力をもっていたといわれる。 残りの二十プロセントすなわち七匹の・・・ 寺田寅彦 「三斜晶系」
・・・ こうした極端な程度から少し下がった中等程度の颱風となると、その頻度は目立って増して来る。やっと颱風と名のつく程度のものまでも入れれば中部日本を通るものだけでも年に一つや二つくらいはいつでも数えられるであろう。遺憾ながらまだ颱風の深度対・・・ 寺田寅彦 「颱風雑俎」
・・・ 今これら各種の間隔の頻度について統計してみると次のとおりである。四分以上 4回 │ 二分以下 23回三分以上 9回 │ 一分以下 11回二分以上 15回 │ 四十秒以下 5回・・・ 寺田寅彦 「電車の混雑について」
・・・この現象はわが国建国以来おそらく現代とほぼ同様な頻度をもって繰り返されて来たものであろう。日本書紀第十六巻に記録された、太子が鮪という男に与えた歌にも「ない」が現われており、またその二十九巻には天武天皇のみ代における土佐国大地震とそれに伴な・・・ 寺田寅彦 「日本人の自然観」
・・・こういう天候で、もし降雨を伴なわないと全国的に火事や山火事の頻度が多くなるのであるが、この日は幸いに雨気雪気が勝っていたために本州四国九州いずれも無事であった。ところが午後六時にはこの低気圧はさらに深度を強めて北上し、ちょうど札幌の真西あた・・・ 寺田寅彦 「函館の大火について」
せんだって、駿河湾北端に近い漁場における鰺の漁獲高と伊豆付近の地震の頻度との間にある関係があるらしいということについて簡単な調査の結果を発表したことがあった。このように純粋に物質的な現象、すなわち地震のような現象と、生物的・・・ 寺田寅彦 「物質群として見た動物群」
・・・何だかその頻度が増してくるように思われる。それを探すような気持ちであちこちをながめていると、水面の闇がいくらか薄れて来て、池の広さがだんだん目に入るようになって来た。 私たちのそういう騒ぎを黙って聞いていて口を出さない船頭に、一体音のす・・・ 和辻哲郎 「巨椋池の蓮」
出典:青空文庫