・・・その中には、日本の民主化のために骨髄的諸項――たとえば労働組合の政治活動の自由・政党支持の自由・組合員であるからといって不当なとり扱いを蒙ることはないし、検挙をうけたりすることもないようにという条項など――が明文化された。ここまで、日本の労・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・それが、若い心には、骨髄に滲み徹る。自分なら、恐らく、そのまま家へ帰ってしまったろう。それを、心持を忍んで、また、皆の裡に戻って来たおつやさんのしおらしさが、同い年であった自分に、いいようのない感銘を与えたのである。 おつやさんも、恐ら・・・ 宮本百合子 「追想」
・・・ 芭蕉自身にしろ、西鶴や門左衛門と等しく、古いものの権威の失墜と、人間性の高揚と現実に即してはなれぬ時代気風とを、骨髄に持って成長して来ている。けれども、彼が芸術として俳諧に求めたのは、西鶴のような現象を追うばかりの浮世絵巻としてではな・・・ 宮本百合子 「芭蕉について」
・・・其皮相のみを写したるものはいまだ之を真の小説とは言ふべからず。其骨髄を穿つに及び」はじめて小説は小説としての本質を具えるものであると説明しているのであるが、我々にとって興味ある事実は、この画期的意味をもった小冊子が当時の外国文学の潮流にのっ・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・プロレタリア文学の業績は摂取され正しく伝承されなければ民主主義文学はその成長の骨髄を失うだろう。 なぜなら、当時既に日本にも労働者階級が発生し、階級の対立が現実していた。現世紀の社会歴史の発展は、あらゆる段階とそれに応じた様々の様相を通・・・ 宮本百合子 「プロレタリア文学の存在」
出典:青空文庫