出典:青空文庫
・・・ 自分は新たに来た客とジョルジュ・サンドの話などをしていた。その時庭木の若葉の間に二つの車の幌が見えた。幌は垣の上にゆらめきながら、たちまち目の前を通り過ぎた。「一体十九世紀の前半の作家はバルザックにしろサンドにしろ、後半の作家よりは偉・・・ 芥川竜之介 「子供の病気」
・・・セヴァストーポリからかえった時代のトルストイは、ジョルジュ・サンドが大きらいで、彼女の作品をひとがほめるのさえ我慢出来ながっていたことがこの第一巻に記されている。 ところが一方でトルストイは、女性が只雌であってはならないということをあれ・・・ 宮本百合子 「『トルストーイ伝』」
・・・自身、いつ返せるか当のない借金の山を負いつつ、ヴェルデやサンドーの借金の証人に立ったり、いかにも彼らしく、まだ書いてもない小説からの収入までを算用して遣いすぎをやったり。特に一八三一年、派手で鳴らしたカストリィ公爵夫人と激しい恋に陥ってから・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」