出典:青空文庫
・・・ロックも、ヒュームも、ミルも幸福主義である。利己的であれ、利他的であれ、個人であれ、社会であれ、ともかくも道徳の目的を福利においている点は同じである。これはいかにも常識的なイギリスに栄えそうな倫理学である。しかし幸福説は道徳的意識の深みと先・・・ 倉田百三 「学生と教養」
・・・ロックやヒュームやカントには多少の耳を借しても、ヘーゲルやフィヒテは問題にならないらしい。これはそうありそうな事である。とにかく将来の哲学者は彼から多くを学ばねばなるまい。ショーペンハウアーとニーチェは文学者として推賞するのだそうである。し・・・ 寺田寅彦 「アインシュタイン」
・・・漱石はロックやヒュームの哲学をも、当時のロンドン生活に見落せない珈琲店の有様とともにふれているのであるが、抑々十八世紀のイギリス文学には何故ロビンソン風の漂流物語が多く出たのか、そのことと旺盛な植民事業の発展とは当時の一般風俗、心理の中でど・・・ 宮本百合子 「風俗の感受性」