出典:青空文庫
・・・ 三 なぜロビンソンは猿を飼ったか? なぜロビンソンは猿を飼ったか? それは彼の目のあたりに彼のカリカチュアを見たかったからである。わたしはよく承知している。銃を抱いたロビンソンはぼろぼろのズボンの膝をかかえながら、いつ・・・ 芥川竜之介 「三つのなぜ」
・・・もっとも、送電線にしても工学者の計算によって相当な風圧を考慮し若干の安全係数をかけて設計してあるはずであるが、変化のはげしい風圧を静力学的に考え、しかもロビンソン風速計で測った平均風速だけを目安にして勘定したりするようなアカデミックな方法に・・・ 寺田寅彦 「天災と国防」
・・・ この間或る雑誌を見ていたらD・マクドナルドが、現代アメリカの最大なジャーナリストの一人であるヘンリー・ロビンソン・ルースの事業と性格、社会的行動の分析をしていた。 周知のとおり通俗ニュース雑誌、『ライフ』『タイム』『フォーチューン・・・ 宮本百合子 「微妙な人間的交錯」
・・・ その文芸評論の中で漱石は、ディフォーの「ロビンソン・クルーソー」を批評している。「詩的に下等であるから、美的要素にとんだ作品が滅多に少ない」時代「而も精力が充満して活動の表現が欲しいような場合」の「無理想主義の十八世紀を最下等の側面よ・・・ 宮本百合子 「風俗の感受性」
・・・それから、ロビンソン、クルーソーみたように難船に逢って一人ッきり、人跡の絶えた島に泳ぎ着くなんかも随分面白かろうと考えるんです。 これまでは、ズット北の山の中に、徳蔵おじと一処にいたんですが、そのまえは、先の殿様ね、今では東京にお住いの・・・ 若松賤子 「忘れ形見」