出典:青空文庫
・・・ 一九〇五年からあとのロシアの反動期を通じて、チェホフが一見しずかそうな彼の文学の底を貫いてもちつづけた科学性に立つ正義感の水脈をつたわり、つつましいコロレンコが若いゴーリキーのうちに未来への期待をかけたその社会性、人民性に対する待望の・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第九巻)」
・・・革命的学生として同じ頃流刑されていたコロレンコを知っていた。 苦しい動揺の後、自分にとって余り誇りとならない事件の後のゴーリキイにとって、このロマーシの着実な、人間的な処理ぶりは非常にためになった。「それは私を真直にした」と、ゴーリキイ・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・この時代、ゴーリキイはコロレンコに近づき、コロレンコに於て、信頼するに足るインテリゲンツィアのタイプを見出したのではあったが、当時の不健全な傾向として現れていた理論の遊びは、ゴーリキイをついに放浪の生活に誘惑した。処女作「マカール・チュード・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」
・・・時ロシアにはびこった機械主義的マルクス主義の理解によって、真理に近づこうとする正当な努力の方向をそらされたのはもちろんゴーリキイ一人でなく、例えば当時ニージュニイで急進的文化活動の中心をなしていた作家コロレンコはそのゆがめられた機械的見解に・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
・・・ この三人暮しの有様は、オリガがなくなって後書かれた「初恋について」の中に色濃やかな鮮やかさで、情愛ふかく描かれている。 コロレンコとの友情が深められたのもこの時分であり、自分の文学的労作についてだんだん真面目に考えるようになって来・・・ 宮本百合子 「逝けるマクシム・ゴーリキイ」