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・・・数羽の禿鷹コンドルを壁の根もとに一列につないでおいて、その前方三ヤードくらいの所を紙包みにした肉をさげて通ったが、鳥どもは知らん顔をしていた。そこで肉の包みを鳥から一ヤード以内の床上に置いてみたが、それでもまだ鳥は気がつかなかった。とうとう・・・
寺田寅彦
「とんびと油揚」
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・・・それは青山御所を建てたコンドルという英人が建てたとか、あまり大きくもない煉瓦の建物であったが、当時の法文科はその一つの建物の中に納っていたのである。しかもその二階は図書室と学長室などがあって、太いズボンをつけた外山さんが、鍵をがちゃつかしな・・・
西田幾多郎
「明治二十四、五年頃の東京文科大学選科」