出典:青空文庫
・・・は、平戸から九州の本土へ渡る船の中で、フランシス・ザヴィエルと邂逅した。その時、ザヴィエルは、「シメオン伊留満一人を御伴に召され」ていたが、そのシメオンの口から、当時の容子が信徒の間へ伝えられ、それがまた次第に諸方へひろまって、ついには何十・・・ 芥川竜之介 「さまよえる猶太人」
・・・互に何か探し合っているようだったが、やがて彼らは広場の方に、「フランシス」「ベルナルドーネの若い騎士」「円卓子の盟主」などと声々に叫び立てながら、はぐれた伴侶を探しにもどって来た。彼らは広場の手前まで来た。そして彼らの方に二十二、三に見える・・・ 有島武郎 「クララの出家」
・・・ 聖フランシスと聖クララの晩年の生活。男ひじりと女ひじりともに住みたまふみ山はあれか筑波こほしも 二人の中に共通の道を持ち、事業を持ち、それによって燃え上る恋もまた美しい。ひとつに融け合う夫婦生活は尊い。ブース夫婦。ガン・・・ 倉田百三 「女性の諸問題」
・・・ウィンパーの一行は登る時には、クロス、それから次に年を取った方のペーテル、それからその悴が二人、それからフランシス・ダグラス卿というこれは身分のある人です。それからハドウ、それからハドス、それからウィンパーというのが一番終いで、つまり八人が・・・ 幸田露伴 「幻談」
・・・ 私も四五通の手紙を書き、フランシス・エドワーズの目録を見る。素晴らしそうなのが沢山あり、特にバートンのアラビアンナイトの原版、小画風の插画のあるキング・アーサー物語の新版がひどく興味をそそった。日夏耿之介氏がアラビアンナイトを訳される・・・ 宮本百合子 「静かな日曜」
・・・ 男の先生と女の生徒との間には、同性間に見られない特殊な雰囲気の生ずることは誰でも知っていることで、その最も美しい例を私共は、聖フランシスと聖クララとの情宜、良寛の女弟子との交り等に示されています。マダム・キューリーの夫妻関係にも幾分師・・・ 宮本百合子 「惨めな無我夢中」