たい‐わ【対話】例文一覧 30件

  1. ・・・ 保吉の予想の誤らなかった証拠はこの対話のここに載ったことである。<芥川竜之介「或恋愛小説」青空文庫>
  2. ・・・ そんな対話を聞きながら、巻煙草を啣えた洋一は、ぼんやり柱暦を眺めていた。中学を卒業して以来、彼には何日と云う記憶はあっても、何曜日かは終始忘れている。――それがふと彼の心に、寂しい気もちを与えたのだった。その上もう一月すると、ほとんど・・・<芥川竜之介「お律と子等と」青空文庫>
  3. ・・・ 僕はこう云う対話の中にだんだん息苦しさを感じ出した。「ジァン・クリストフは読んだかい?」「ああ、少し読んだけれども、……」「読みつづける気にはならなかったの?」「どうもあれは旺盛すぎてね。」 僕はもう一度一生懸命に・・・<芥川竜之介「彼」青空文庫>
  4. ・・・――僕はいつかこの対話の意味を正確に掴もうとあせっていた。「オオル・ライト」? 「オオル・ライト」? 何が一体オオル・ライトなのであろう? 僕の部屋は勿論ひっそりしていた。が、戸をあけてはいることは妙に僕には無気味だった。僕はちょっとた・・・<芥川竜之介「歯車」青空文庫>
  5. ・・・予の屡繰返す如く、欧人の晩食の風習や日本の茶の湯は美食が唯一の目的ではないは誰れも承知して居よう、人間動作の趣味や案内の装飾器物の配列や、応対話談の興味や、薫香の趣味声音の趣味相俟って、品格ある娯楽の間自然的に偉大な感化を得るのであろう・・・<伊藤左千夫「茶の湯の手帳」青空文庫>
  6. ・・・そういえば、たしか小学校の五年生の時にも対話風の綴方を書いていた。彼女だとか少女だとかいう言葉が飛び出したが、それを先生は「かのおんな」「かのおとめ」と訂正して読まれた。 戯曲ではチェーホフ、ルナアル、ボルトリッシュ、ヴィルドラック、岸・・・<織田作之助「わが文学修業」青空文庫>
  7. ・・・それはこの作が芝居で困難なのは動きの少ない対話のシーンが多いからだが、映画なら大うつしがきくし、トーキーならその単調さが救われるからだ。寺の本堂、廊下、仏像なども立体的に、いろいろな角度や、光りでとれるからだ。それは『アジアの嵐』などでもわ・・・<倉田百三「『出家とその弟子』の追憶」青空文庫>
  8. ・・・後対話の間に、他の雑誌と取り替うることあり。甲。アメリイさん。今晩は。クリスマスの晩だのに、そんな風に一人で坐っているところを見ると、まるで男の独者のようね。ほんとにお前さんのそうしているところを見ると、わたし胸が痛・・・<著:ストリンドベリアウグスト 訳:森鴎外「一人舞台」青空文庫>
  9. ・・・その対話がすんで了うと、みんなは愈々手持ぶさたになった。テツさんは、窓縁につつましく並べて置いた丸い十本の指を矢鱈にかがめたり伸ばしたりしながら、ひとつ処をじっと見つめているのであった。私はそのような光景を見て居れなかったので、テツさんのと・・・<太宰治「列車」青空文庫>
  10. ・・・ 二人の対話が明らかに病兵の耳に入る。 「十八聯隊の兵だナ」 「そうですか」 「いつからここに来てるんだ?」 「少しも知らんかったんです。いつから来たんですか。私は十時ころぐっすり寝込んだんですが、ふと目を覚ますと、唸り・・・<田山花袋「一兵卒」青空文庫>
  11. ・・・ 桑木博士と対話の中に、蒸気機関が発明されなかったら人間はもう少し幸福だったろうというような事があったように記憶している。また他の人と石炭のエネルギーの問題を論じている中に、「仮りに同一量の石炭から得られるエネルギーがずっと増したとすれ・・・<寺田寅彦「アインシュタイン」青空文庫>
  12. ・・・靴音との合奏を聞かせたり、あるいはまた終巻でアルベールの愛の破綻と友情の危機を象徴するために、蓄音機の針をレコードの音溝の損所に追い込んでガーガーと週期的な不快な音を立てさせたり、あるいは、重要でない対話はガラス戸の向こう側でさせて、観客の・・・<寺田寅彦「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」青空文庫>
  13. ・・・特にその対話である。吉良上野のほうはだれがやるとしても比較的やさしいと思われるが浅野内匠のほうは実際むつかしい。片岡千恵蔵氏もよほど苦心はしたようであるが、どうも成効とは思われない。あの前編前半のクライマックスを成す刃傷の心理的経過をもう少・・・<寺田寅彦「映画雑感(3[#「3」はローマ数字、1-13-23])」青空文庫>
  14. ・・・鈍重なスコッチとスマートなロンドン子と神経質なお坊っちゃんとの対照が三人の俳優で適当に代表されている。対話のユーモアやアイロニーが充分にわからないのは残念であるが、わかるところだけでもずいぶんおもしろい。新入りの二人を出迎えに行った先輩のス・・・<寺田寅彦「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」青空文庫>
  15. ・・・ホテルの一室で人が対話していると、窓越しに見える遠見の屋上でアラビア人のアルラーにささげる祈りの歌が聞こえる。すると平凡な一室が突然テヘランの町の一角に飛んで行く。こういう効果はおそらく音響によってのみ得られるべきものである。探偵が来て「可・・・<寺田寅彦「映画時代」青空文庫>
  16. ・・・ 踊子の踊の間々に楽屋の人たちがスケッチとか称している短い滑稽な対話が挿入される。その中には人の意表に出たものが時々見られるのだ。靴磨が女の靴をみがきながら、片足を揚げた短いスカートの下から女の股間を窺くために、足台をだんだん高くさせた・・・<永井荷風「裸体談義」青空文庫>
  17. ・・・しかし対話の内容周囲の光景等は無論余の空想から捏出したもので沙翁とは何らの関係もない。それから断頭吏の歌をうたって斧を磨ぐところについて一言しておくが、この趣向は全くエーンズウォースの「倫敦塔」と云う小説から来たもので、余はこれに対して些少・・・<夏目漱石「倫敦塔」青空文庫>
  18. ・・・故に隔壁にても人の対話を聞けば、その上士たり、下士たり、商たり、農たるの区別は明に知るべし。 右条々のごとく、上下両等の士族は、権利を異にし、骨肉の縁を異にし、貧富を異にし、教育を異にし、理財活計の趣を異にし、風俗習慣を異にする者なれば・・・<福沢諭吉「旧藩情」青空文庫>
  19. ・・・君が僕と共にしたのは、夜昼とない無意味の対話、同じ人との交際、一人の女を相手にしての偽りの恋に過ぎぬ。共にしたとはいうけれど、譬えば一家の主僕がその家を、輿を、犬を、三度の食事を、鞭を共にしていると変った事はない。一人のためにはその家は喜見・・・<著:ホーフマンスタールフーゴー・フォン 訳:森鴎外「痴人と死と」青空文庫>
  20. ・・・さっそくブルブルッとふるえあがり、青白く逆上せてしまい唇をきっとかみながらすぐひどく手をまわして、すなわち一ぺん東京まで手をまわして風下にいる軽便鉄道の電信柱に、シグナルとシグナレスの対話がいったいなんだったか、今シグナレスが笑ったことは、・・・<宮沢賢治「シグナルとシグナレス」青空文庫>
  21. ・・・そういう対話を主人公との間に交します。当時あのように禁じられていた話題をとりあげる以上は、主人公がリベラリストであるという裏書をその国民学校の先生の話によって与えさせている。手のこんだアリバイの示しかたです。 ここに「北岸部隊」というも・・・<宮本百合子「一九四六年の文壇」青空文庫>
  22. ・・・p.243○彼の作品の冗漫性にある意味――事件の骨骼の下に、対話の肌の下にこうも 神経を一貫したような物語の体系をもたない。p.245○限界のない人間は永遠のものに到達出来るけれども、模索することは出来ない p.246  芸術・・・<宮本百合子「ツワイク「三人の巨匠」」青空文庫>
  23. ・・・ それから、ブランクになって居る対話の部、あすこもやめたいと思います。何だか女学世界のようで私の好みに反しますから。 点とりは、生憎非常に多忙なので、ゆっくりあれで遊んで居られません。勝手ですがあのまま御返し申します。二つの大きな消・・・<宮本百合子「日記・書簡」青空文庫>
  24. ・・・ 一、それ等の間にも雲が切れたように親子の情は動く。対話、母の父に対する感情等、 一、翌年五月 又安積、会田 祖母。Aよりの手紙その他 一、夏、福井、あの家、二階 仕事盆踊。渡辺。なまずとり。急な帰京 一、作についての衝突、・・・<宮本百合子「「伸子」創作メモ(一)」青空文庫>
  25. ・・・それが済んだ跡で、子爵と秀麿との間に、こんな対話があった。 子爵は袴を着けて据わって、刻煙草を煙管で飲んでいたが、痩せた顔の目の縁に、皺を沢山寄せて、嬉しげに息子をじっと見て、只一言「どうだ」と云った。「はい」と父の顔を見返しながら・・・<森鴎外「かのように」青空文庫>
  26. ・・・大抵津藤さんは人の対話の内に潜んでいて形を現さない。それがめずらしく形を現したのは、梅暦の千藤である。千葉の藤兵衛である。 当時小倉袴仲間の通人がわたくしに教えて云った。「あれは摂津国屋藤次郎と云う実在の人物だそうだよ」と。モデエルと云・・・<森鴎外「細木香以」青空文庫>
  27. ・・・ 二人の子供は、はずんで来る対話の調子を気にして、潮汲み女のそばへ寄ったので、女中と三人で女を取り巻いた形になった。 潮汲み女は言った。「いいえ。信者が多くて人気のいい土地ですが、国守の掟だからしかたがありません。もうあそこに」と言・・・<森鴎外「山椒大夫」青空文庫>
  28. ・・・ 僕は暫く依田さんと青年との対話を聞いているうちに、その青年が壮士俳優だと云うことを知った。俳優は依田さんの意を迎えて、「なんでもこれからの俳優は書見をいたさなくてはなりません」などと云っている。そしてそう云っている態度と、読書と云うも・・・<森鴎外「百物語」青空文庫>
  29.  この対話に出づる人物は      貴夫人      男の二人なり。作者が女とも女子とも云わずして、貴夫人と云うは、その人の性を指すと同時に、齢をも指せるなり。この貴夫人と云う詞は、女の生涯のうちある五年間を指す・・・<著:モルナールフェレンツ 訳:森鴎外「辻馬車」青空文庫>
  30. ・・・従って先生は対話の場合かなり無遠慮に露骨に突っ込んで来るにかかわらず、問題が自分なり相手なりの深みに触れて来ると、すぐに言葉を転じてしまう。そうして手ざわりのいい諧謔をもって柔らかくその問題を包む。これらの所に先生の温情と厭世観との結合した・・・<和辻哲郎「夏目先生の追憶」青空文庫>