た‐がく【多額】例文一覧 14件

  1. ・・・その家は今でも連綿として栄え、初期の議会に埼玉から多額納税者として貴族院議員に撰出された野口氏で、喜兵衛の位牌は今でもこの野口家に祀られている。然るに喜兵衛が野口家の後見となって身分が定ってから、故郷の三ヶ谷に残した子の十一歳となったを幸手・・・<内田魯庵「淡島椿岳」青空文庫>
  2. ・・・けれども、その出版の仕事も、紙の買入れ方をしくじったとかで、かなりの欠損になり、夫も多額の借金を背負い、その後仕末のために、ぼんやり毎日、家を出て、夕方くたびれ切ったような姿で帰宅し、以前から無口のお方でありましたが、その頃からいっそう、む・・・<太宰治「おさん」青空文庫>
  3. ・・・あによめも、できればもっと多くを送りたかったのであろうが、あによめ自身、そんなにお金がままになるわけでもなし、ぎりぎりの精一ぱいのところにちがいないので、また、よしんば、もっと多額を送れても、そこはたくさんの近親たちの手前もあり、さまざまの・・・<太宰治「花燭」青空文庫>
  4. ・・・その頃、れいの多額納税の貴族院議員有資格者は、一県に四五人くらいのものであったらしい。曾祖父は、そのひとりであった。昨年、私は甲府市のお城の傍の古本屋で明治初年の紳士録をひらいて見たら、その曾祖父の実に田舎くさいまさしく百姓姿の写真が掲載せ・・・<太宰治「苦悩の年鑑」青空文庫>
  5. ・・・私には、蒲団と、机と、電気スタンドと、行李一つだけが残った。多額の負債も不気味に残った。それから二年経って、私は或る先輩のお世話で、平凡な見合い結婚をした。さらに二年を経て、はじめて私は一息ついた。貧しい創作集も既に十冊近く出版せられている・・・<太宰治「東京八景」青空文庫>
  6.  昭和八年三月三日の早朝に、東北日本の太平洋岸に津浪が襲来して、沿岸の小都市村落を片端から薙ぎ倒し洗い流し、そうして多数の人命と多額の財物を奪い去った。明治二十九年六月十五日の同地方に起ったいわゆる「三陸大津浪」とほぼ同様な・・・<寺田寅彦「津浪と人間」青空文庫>
  7. ・・・ 一座の中で裸体になる女の給金は、そうでない女たちよりも多額である。それなら誰も彼も裸体になるといいそうなものであるが、そんな競争は見られない。普通の踊子が裸体を勤める女に対して影口をきくこともなく、各その分を守っているとでもいうように・・・<永井荷風「裸体談義」青空文庫>
  8. ・・・当面生活の心配などなく、永年多額の金を修業につかうことのできたごく僅の女のひとたちだけが、いわゆる仕事から職業へ有利に移ることができるのだとしたら、私たち大多数の女にとって悲しい残念な事実ではないでしょうか。金のあるひとだけが金を儲けて得て・・・<宮本百合子「現実の道」青空文庫>
  9. ・・・吉原の公娼制度が廃止されることは、健全な結婚の可能性が我々の生きる今日の社会条件の中に増大されたのではなくて、多額納税議員をもその中から出している女郎屋の楼主たちが、昨今の情勢で営業税その他を課せられてまでの経営は不利と認めたからである。・・・<宮本百合子「昨今の話題を」青空文庫>
  10. ・・・ 家庭購買組合も見たところ大きい規範で経営されてはいるけれど、各戸を実際にまわっている実務員が報酬を歩合い制でもらっているものだから、月の売上げの多額なところへ便宜を計るという致命的な弱点をもっている。少人数の家では少額ならざるを得ない・・・<宮本百合子「主婦意識の転換」青空文庫>
  11. ・・・いわゆる名門の子弟を教育する学習院は、そのころから伝統的な貴族や学者の子弟ばかりでなく金力であがなった爵位で貴族生活の模倣をたのしむものの子供や多額納税という条件で入学の可能な家庭の子供もふくんでいたのであったから、漱石の権力・金力と人間性・・・<宮本百合子「日本の青春」青空文庫>
  12. ・・・ブルジョア国で、これだけ素敵な設備のある産院だったら、そんな帖簿はきっと金持の夫人達の名と多額な入院料を記入した産院利潤帖だろうが、モスクワではそうではない。 一々、産婦の住所、年齢、職業、一般健康状態、姙娠中の状態、出産当時の条件、及・・・<宮本百合子「モスクワ日記から」青空文庫>
  13. ・・・一人当り一〇〇円ずつ引出せば、家内何人でもやって行けるというのは、多額の預金をもつ人々だけの安心である。今日の社会は、もう去年の秋と異って来ている。モラトリアムをしかなければならないということは、とりも直さず、日本全国の正直な人民生計は赤字・・・<宮本百合子「モラトリアム質疑」青空文庫>
  14. ・・・それは数十万円の税金を払う最も多額の利潤を得た人々のために、政府が考えてやっている便法である。より少い、より僅かしか儲けなかった人に課せられる税は、率は少くても利潤の大半を引攫うものであろうが、それに対しては猶予はないのである。彼等の戦時利・・・<宮本百合子「私たちの建設」青空文庫>