とり‐あつかい〔‐あつかひ〕【取(り)扱い】例文一覧 30件

  1. ・・・ 春は過ぎても、初夏の日の長い、五月中旬、午頃の郵便局は閑なもの。受附にもどの口にも他に立集う人は一人もなかった。が、為替は直ぐ手取早くは受取れなかった。 取扱いが如何にも気長で、「金額は何ほどですか。差出人は誰でありますか。貴・・・<泉鏡花「国貞えがく」青空文庫>
  2.  フットボールは、あまり坊ちゃんや、お嬢さんたちが、乱暴に取り扱いなさるので、弱りきっていました。どうせ、踏んだり、蹴ったりされるものではありましたけれども、すこしは、自分の身になって考えてみてくれてもいいと思ったのであります。 し・・・<小川未明「あるまりの一生」青空文庫>
  3. ・・・こんなふうに町の人々には、この二人の乞食を情けなく取り扱いましたけれど、やはりどんなに風の吹く日も、また寒い日にでも、二人はこの町へやってきました。 町の人々は二人を見送って、「まだあの乞食がこの辺りをうろついている。早くどこへなり・・・<小川未明「黒い旗物語」青空文庫>
  4. ・・・ 書物でも、雑誌でも、私はできるだけ綺麗に取扱います。それなら、それ程、書物というものをありがたく思うのかというに、それは、自から別問題という気がします。 表題だけを見る時、「あゝこういう本が読みたかったのだ」と、興奮に近いもの・・・<小川未明「書を愛して書を持たず」青空文庫>
  5. ・・・或る作家は社会に生起する特殊の材料を取り扱い、或る作家は、永久に不変の自然を材料に取扱っている。畢竟、作家得意の観察から入り、深く人生に触れんとする努力から斯く異った態度を示すのである。是等の異った作家が各々異った意義と形の上で異った印象を・・・<小川未明「若き姿の文芸」青空文庫>
  6. ・・・「武器を取扱い武器を所有することを学ぼうと努力しない被抑圧階級はただ奴隷的待遇に甘んじていなければならぬであろう。吾々は、ブルジョア的平和主義者や、日和見主義者に変ることなく、吾々が階級社会に住んでいること、階級闘争と支配階級の権力の打倒と・・・<黒島伝治「入営する青年たちは何をなすべきか」青空文庫>
  7. ・・・いるとき、工場労働者とはちがった特殊な生活条件、地理環境、習慣、保守性等を持った農民、そして、それらのいろいろな条件に支配される農民の欲求や感情や、感覚などを、プロレタリアートの文学から、どういう風に取扱い、表現しなければならないか? それ・・・<黒島伝治「農民文学の問題」青空文庫>
  8. ・・・小角や浄蔵などの奇蹟は妖術幻術の中には算していないで、神通道力というように取扱い来っている。小角は道士羽客の流にも大日本史などでは扱われているが、小角の事はすべて小角死して二百年ばかりになって聖宝が出た頃からいろいろ取囃されたもので、その間・・・<幸田露伴「魔法修行者」青空文庫>
  9. ・・・鄭重に取り扱いましょう。感激したからと言って、文章の傍に赤線ひっぱったりなんかは、しないことにしましょう。借りて来た本ですから、大事にしなければなりません。飜訳篇、第十六巻を、ひらいてみましょう。いい短篇小説が、たくさん在ります。目次を見ま・・・<太宰治「女の決闘」青空文庫>
  10. ・・・またこの著者がそのモンタージュを論じた一章の表題に「素材の取り扱い方」という平凡な文字を使い、そうしてその題下に「構成モンタージュ」「場面のモンタージュ」「插話のモンタージュ」等の小区分を設けているのである。 映画素材から映画を作り上げ・・・<寺田寅彦「映画芸術」青空文庫>
  11. ・・・その娘が大きくなって恋をする、といったような甘い通俗的な人情映画であるが、しかし映画的の取扱いがわりにさらさらとして見ていて気持のいい、何かしら美しい健全なものを観客の胸に吹き込むところがある。一体こうした種類の映画はもっともっと多く作られ・・・<寺田寅彦「映画雑感6[#「6」はローマ数字、1-13-26]」青空文庫>
  12. ・・・本来ならば実に退屈で到底見ていられそうもない筋と材料を使って、そうしてちっとも退屈させないで緊張をつづけて行くのは映画としての編成の上に至るところ非常に気のきいた取り扱い方があるおかげであろう。そうして、それが簡単に一口に説明のできないよう・・・<寺田寅彦「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」青空文庫>
  13. ・・・この終末の取り扱い方にどこかフランス芸術に共通な気のきいた呼吸を見ることができるような気がする。     三 世界の屋根 この映画で自分のもっとも美しいと思った場面はおおぜいの白衣の回教徒がラマダンの断食月に寺院の広場に集ま・・・<寺田寅彦「映画雑感(3[#「3」はローマ数字、1-13-23])」青空文庫>
  14. ・・・それでたとえばアメリカ映画における前述のレヴューの線条的あるいは花模様的な取り扱い方なども、そうした懸賞問題への一つの答案として見ることもできる。そうして、それに対して「踊る線条」のような抽象映画は一つの暗示として有用な意義をもちうるわけで・・・<寺田寅彦「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」青空文庫>
  15. ・・・熱力学の方則を理解した作者としない作者とでは、同じ事件の取り扱い方におのずからちがった展開を見せないとは言われないであろう。 顕微鏡で花の構造を子細に点検すれば、花の美しさが消滅するという考えは途方もない偏見である。花の美しさはかえって・・・<寺田寅彦「科学と文学」青空文庫>
  16. ・・・ともかくもこれらの名前を一定の方式に従って統計的に取り扱い、その結果がよければ前提が是認され、悪ければ否定されるのである。 完全な材料はなかなか急には得難いので、ここではまず最初の試みとして東京天文台編「理科年表」昭和五年版の「本邦のお・・・<寺田寅彦「火山の名について」青空文庫>
  17. ・・・それで例えば煙突の振動の問題でも、従来の理論的取扱い方に不満を感じて色々の点から改良を試みた。地震計の震動体にメルデ実験に相当する作用のあるのが見逃されているのに気付いて、これを無くする考案をしたりした。また多数の共鳴体を並列して地震動を分・・・<寺田寅彦「工学博士末広恭二君」青空文庫>
  18. ・・・勿論これらの記事はどこまでが事実でどこからが西鶴の創作であるかは不明であるが、いずれにしてもこれらの素材の取扱い方に著者の心理分析的な傾向を認めても不都合はないはずであろうと思われる。 これらの心理的写実を馬琴や近松のそれと比べてみると・・・<寺田寅彦「西鶴と科学」青空文庫>
  19. ・・・日常の会話にも下がかった事を軽い可笑味として取扱い得るのは日本文明固有の特徴といわなければならない。この特徴を形造った大天才は、やはり凡ての日本的固有の文明を創造した蟄居の「江戸人」である事は今更茲に論ずるまでもない。もし以上の如き珍々先生・・・<永井荷風「妾宅」青空文庫>
  20. ・・・ナチュラリズムは、材料の取扱い方が正直で、また現在の事実を発揮さすることに勉むるから、人の精神を現在に結合さする、例えば人間を始めから不完全な物と見て人の欠点を評したるものである。ローマンチシズムは、己以上の偉大なるものを材料として取扱うか・・・<夏目漱石「教育と文芸」青空文庫>
  21. ・・・ろう、どうかして泣かせてやろうと擽ったり辛子を甞めさせるような故意の痕跡が見え透いたら定めし御聴き辛いことで、ために芸術品として見たる私の講演は大いに価値を損ずるごとく、いかに内容が良くても、言い方、取扱い方、書き方が、読者を釣ってやろうと・・・<夏目漱石「文芸と道徳」青空文庫>
  22. ・・・此一面より見れば愚なるが如くなれども、方向を転じて日常居家の区域に入り、婦人の専ら任ずる所に就て濃に之を視察すれば、衣服飲食の事を始めとして、婢僕の取扱い、音信贈答の注意、来客の接待饗応、四時遊楽の趣向、尚お進んで子女の養育、病人の看護等、・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>
  23. ・・・ 日本プロレタリア作家同盟は、婦人作家をこめて正しい線に立つ全プロレタリア作家がその文学活動においてこれまでは大衆の半数者としての婦人の闘争の注意深い取扱いをやや見落していたことを厳しく自己批判した。この立ちおくれを急速にとりかえし、プ・・・<宮本百合子「国際無産婦人デーに際して」青空文庫>
  24. ・・・ 日本では両性の問題は実に不運な取扱いを受けつづけてきた。社会のあらゆる生活の隅々まで深く封建性の沁み通っている日本では、総ての人が今日寧ろ驚きをもって理解した通り、民法でさえ婦人をおそろしい差別待遇においていた。社会の現実の進み方と、・・・<宮本百合子「人間の結婚」青空文庫>
  25. ・・・「彼女の生涯の大成果は、病気の科学的な取扱いに非常な刺戟を与えたことである。しかし真の科学的方法への理解は彼女に縁遠いものであった。彼女はこれまでの活動家の一人として、経験論者であった」と有名なイギリスの伝記者リットン・ストレーチーは率直に・・・<宮本百合子「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」青空文庫>
  26. ・・・大名に対する将軍家の取扱いとしては、鄭重をきわめたものであった。島原征伐がこの年から三年前寛永十五年の春平定してからのち、江戸の邸に添地を賜わったり、鷹狩の鶴を下されたり、ふだん慇懃を尽くしていた将軍家のことであるから、このたびの大病を聞い・・・<森鴎外「阿部一族」青空文庫>
  27. ・・・これはしめたと思って大切に取り扱い庭一面に広がるのを楽しみにしていたのであるが、冬になって霜柱が立つようになると、消えてなくなった。翌年も少しは出たが、もう前の年のようには育たなかった。雨の少ない年には全然出て来ないこともある。昨年はいくら・・・<和辻哲郎「京の四季」青空文庫>
  28. ・・・しかし美のゆえに礼拝せらるべき芸術品としては、確かにパウロから不当な取り扱いを受けた。今やその不当な取り扱いは償われ、ただ芸術品としての威厳をもって人々の上に臨んだのである。 かくのごとき偶像の再興はまた千年にわたる教権の圧迫への反抗を・・・<和辻哲郎「『偶像再興』序言」青空文庫>
  29. ・・・このことは四肢の無雑作な取り扱い方によく現われている。両足は無視されるのが通例であり、両腕も、この人物が何かを持っているとか、あるいは踊っているのだとか、ということを示すためだけに付けられるのであって、肩や腕を写実的に表現しようなどという意・・・<和辻哲郎「人物埴輪の眼」青空文庫>
  30. ・・・これらの塑像における面相や肢体の取り扱い方は、雲岡の石像の場合とはまるで違う。ここでは意味ある形を作ることが主要関心事であって、感覚的な興味は二の次である。従って面相に現われた表情がまるで違っているように、肢体の姿、衣文の強調の仕方などもま・・・<和辻哲郎「麦積山塑像の示唆するもの」青空文庫>