袖(そで)に露(つゆ)置(お)・く
露がかかって袖がぬれる。また、涙で袖がぬれる。「草の葉にあらぬたもとも物思へば—・く秋の夕暮れ」〈山家集・下〉
袖(そで)に湊(みなと)の騒(さわ)・ぐ
港に波が打ち寄せて騒ぐように、袖に涙がひどく流れる。「思ほえず—・ぐかなもろこし舟の寄りしばかりに」〈伊勢・二六〉
そで‐の‐あめ【袖の雨】
着物の袖をぬらす雨。悲しみの涙で袖がぬれることのたとえ。「またひとしきり—、晴間はしばしなかりけり」〈逍遥・桐一葉〉
そで‐の‐うめ【袖の梅】
悪酔いや二日酔いの薬。江戸新吉原の名物。
そで‐の‐うら【袖の浦】
着物の袖が涙にぬれているのを、浦に見立てていう語。「忍びねの涙たたふる—になづまず宿る秋の夜の月」〈山家集・中〉
そでのうら【袖の浦】
神奈川県鎌倉市、七里ヶ浜の別称。 山形県酒田市、最上川河口付近の海岸。[歌枕]「—のなみ吹きかへす秋風に雲の上まで涼しかるらむ」〈新古今・雑上〉
そで‐の‐かみ【袖の紙】
女性が袂(たもと)などに入れておく携帯用のちり紙。
そで‐の‐きちょう【袖の几帳】
「袖几帳」に同じ。「—など取り捨てて、思ひなほり給ふめりし」〈枕・八二〉
そで‐の‐こ【袖の子】
《僧が托鉢(たくはつ)の際に袖を広げて布施米を受けたところから》稲の別名。「宇治山のすそのの小田の苗代にいくらかまきし—の種」〈丹後守為忠百首〉
そで‐の‐こおり【袖の氷】
涙にぬれた袖がこおること。悲しみに閉ざされた心のたとえ。「よそにても、思ひだにおこせ給はば、—も溶(と)けなむかし」〈源・真木柱〉