む‐じょう【無常】
[名・形動] 1 《(梵)anityaの訳》仏語。この世の中の一切のものは常に生滅流転(しょうめつるてん)して、永遠不変のものはないということ。特に、人生のはかないこと。また、そのさま。「—な人...
むじょう‐かん【無常観】
一切は無常であるとする、ものの見方。
むじょう‐き【無常気】
世の中をはかなく思う心。無常心(むじょうごころ)。「ただ—でをかしうないと」〈浄・歌念仏〉
むじょう‐こう【無常講】
互いに掛け金を積んでおき、葬儀の費用に充てる互助組織。「よく聞けば死ぬるを急ぐ—」〈新増犬筑波集・上〉
むじょう‐ごころ【無常心】
「無常気」に同じ。「浮き世の頼み涙にくれ、—や入相(いりあひ)の鐘」〈浄・寿の門松〉
むじょう‐しょ【無常所】
墓場。墓地。「神明寺の辺に—設けて侍りけるが」〈拾遺・雑上・詞書〉
むじょう‐じんそく【無常迅速】
仏語。人の世の移り変わりがきわめて速いこと。人の死が早く来ること。
むじょうということ【無常といふ事】
小林秀雄の評論。日本の古典文学にまつわる随筆で、初出は昭和17年(1942)。昭和21年(1946)刊行。
むじょう‐の‐かぜ【無常の風】
人の生命を消滅させる無常の理法を、花を散らし灯火を消す風にたとえていう語。「—に誘はれ、ただいま冥土へ赴く」〈虎明狂・朝比奈〉
むじょう‐の‐かたき【無常の敵】
死をたとえていう語。「—競(きほ)ひ来たらざらんや」〈徒然・一三七〉