までもない/には及ばない/ことはない の解説 - 小学館 類語例解辞典

までもない/には及ばない/ことはない の共通する意味

不必要を表わす。

までもない/には及ばない/ことはない の使い方

までもない
▽そのことについてなら、いまさら話し合うまでもありません ▽夫の実家より自分の実家の方が気が楽なのは言うまでもない
には及ばない
▽(1)ちょっと血圧が高いだけですから、それほど心配するには及びません ▽(2)駅までお送りしましょうかと申し上げましたら、奥様はそれには及ばないとおっしゃいまして…
ことはない
▽たいしたテストじゃないんだから、できなくたってそんなに落ちこむことはないよ ▽弁論大会だからといって大げさなテーマを取り上げることはありません、身近な問題を話せばいいんです

までもない/には及ばない/ことはない の使い分け

三語とも、…しなくてもいい、そこまでする必要はない、という不必要の意味を表わす。
不必要には二種類の意味があり、一つは、わざわざそうする必要もないくらい、すでにある事柄がわかりきった事実になっている、だからいまさらそうすることにあまり意味はない、という場合、もう一つは、そうすることが必要とされる状況ではない、そこまでしてはかえってよくない、という場合である。「までもない」は前者の用法のみで、「には及ばない」「ことはない」は、前・後者両方の用法を持つが、後者の用法が中心である。例えば「離婚の原因については両親に話すまでもない」は、両親はすでに離婚の原因を知っているのだから今さら改めて話す必要はない、ということを意味し、「には及ばない」「ことはない」を使うと後者の用法に傾き、離婚の原因は当事者が知っていればいいことで、関係のない両親にまで話す必要はない、という意味になる。また、「離婚の原因については他人に話すには及ばない(ことはない)」は後者の用法のみで、離婚の原因について身近な人には話す必要があるかもしれないが、関係のない他人にまで話す必要はない、という意味である。
「には及ばない」だけが名詞をそのまま受けることができる。例文(1)は「ご心配には及びません」の方が会話では普通である。