にしては/わりに(は) の解説 - 小学館 類語例解辞典

にしては/わりに(は) の共通する意味

不均衡を逆接的に表わす。

にしては/わりに(は) の使い方

にしては
▽長く日本にいるにしては日本語があまりうまくない ▽スポーツ選手にしてはきゃしゃな体つきだ ▽締め切りまで時間がないにしては妙に落ち着いている
わりに(は)
▽かなり距離があるわりにははっきりと聞こえた ▽彼は何事にもまじめなわりに人から好かれていません

にしては/わりに(は) の使い分け

「にしては」は、「XにしてはY」の形で、Xという条件から見てYという結果は予想外で順当ではないことを表わす。「わりに(は)」は、「Xわりに(は)Y」の形で、Xの程度にYの程度が釣り合わないことを表わしている。この点だけで見れば、二つの表現にそれほど差はないが、「にしては」の場合、Yという結果を中心にして考えると、むしろXという条件がまちがいなのではないか、という疑いがほのめかされることがある。つまり、Xから見るとYは順当ではない。だからむしろ、Yが事実とすれば、Xではないのかもしれない、という意識が「にしては」に生じることがある。たとえば、表例(1)では、「わりに(は)」の方は、長年住んだという事実(から予想される部屋の状態)と、部屋がきれいだという事実が不釣り合いであることを客観的に述べているにすぎない。しかし、「にしては」のほうは、それにとどまらず、部屋がきれいだという事実から考えると、長年住んだというのは偽りなのではないか、と疑う意味合いも感じ取れる。
「わりに(は)」は、すでに起こった事実X・Yの釣り合い度を問題にするため、Xに未来のことは入れにくい(表例(2))。
「わりに(は)」は、表例(3)のように、Xに「給料」「時間」「値段」「年齢」などの名詞が助詞「の」を介して入り、Xの割合から見てY、という評価を表わすこともある。「年のわりにふけて見える」など。

にしては/わりに(は) の関連語

わりあいに
「わりに(は)」と同様の意味だが、用法が限られている。「文句を言っているわりあいに仕事をしない」

にしては/わりに(は) の類語対比表

①長年住んだ…部屋がきれいだ②長年住む…部屋が少ない子供(の)…できすぎだ年が若い…しっかりしている③給料(の)…仕事がきつい
にしては
わりに(は)(の)-(の)○

参照

にしては⇒としては/にしては

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