・・・切詰めた予算だけしか有しておらぬことであるから、当人は人一倍困悶したが、どうも病気には勝てぬことであるから、暫く学事を抛擲して心身の保養に力めるが宜いとの勧告に従って、そこで山水清閑の地に活気の充ちた天地の気を吸うべく東京の塵埃を背後にした・・・ 幸田露伴 「観画談」
・・・ 今日は時勢もちがい、かかる奇話あるべきようもなしといえども、もしも幸にして学事会の設立もあらば、その権力は昔日の林家の如くならんこと、我が輩の祈るところなり。また、学事会なるものが、かく文事の一方について全権を有するその代りには、これ・・・ 福沢諭吉 「学問の独立」
・・・学理の入るべからざるところはあるべからずとの旨を主張し、内にありては人生の一身一家の世帯より、外に出ては人間の交際、工商の事業にいたるまで、事の大小遠近の別なく、一切万事、我が学問の領分中に包羅して、学事と俗事と連絡を容易にするの意なり。語・・・ 福沢諭吉 「慶応義塾学生諸氏に告ぐ」
・・・第一女子は家の内事を司どるの務あるが故に学事勉強の暇少なし。是れは財産の問題にして、金さえあれば家事を他人に託して独り学を勉む可しと言うも、女子の身体、男子に異なるものありて、月に心身の自由を妨げらるゝのみならず、妊娠出産に引続き小児の哺乳・・・ 福沢諭吉 「新女大学」
・・・「ええと、失礼ですがお職業はやはり学事の方ですか。」校長がたずねました。「ええ、農学校の教師です。」「本日はおやすみでいらっしゃいますか。」「はあ、日曜です。」「なるほどあなたの方では太陽暦をお使いになる関係上、日曜日が・・・ 宮沢賢治 「茨海小学校」
出典:青空文庫