・・・先日おいでの折、男子の面目は在武術と説き、諸卿の素直なる御賛同を得たるも、教訓する者みずから率先して実行せざれば、あたら卓説も瓦礫に等しく意味無きものと相成るべく、老生もとより愚昧と雖も教えて責を負わざる無反省の教師にては無之、昨夕、老骨奮・・・ 太宰治 「花吹雪」
・・・縁もゆかりもなき句を刻して芭蕉塚と称えこれを尊ぶ俗人もありて、芭蕉という名は徹頭徹尾尊敬の意味を表したる中に、咳唾珠を成し句々吟誦するに堪えながら、世人はこれを知らず、宗匠はこれを尊ばず、百年間空しく瓦礫とともに埋められて光彩を放つを得ざり・・・ 正岡子規 「俳人蕪村」
・・・実におん眼からみそなわすならば勲章やエボレットなどは瓦礫にも均しいじゃ。」特務曹長「将軍、お申し訳けのないことを致しました。」曹長「将軍、私に死を下されませ。」バナナン大将「いいや、ならん。」特務曹長「けれどもこれから私・・・ 宮沢賢治 「饑餓陣営」
出典:青空文庫