-
・・・ ジェルテルスキーは、聞き手がもうすっかり知り抜いているに違いないのに、改めて、極めて自然に質問するので、礼儀上からでもそれに答えなければならない不愉快を忍びつつ、大略を話した。猫背に見える程ベルトを高いところで締めたアメリカ型の外套を・・・
宮本百合子
「街」
-
・・・ 斯う云いながら、少年も聞き手も、一寸の間嬉しそうに笑いました。「けれども。皆さん、どうぞ聞いて下さい、僕は下手でも話さずには居られない事があります。其は、海の彼方の白耳義の子供達、僕等の仲間の事です。家を焼かれてしまい、大切な、誰・・・
宮本百合子
「私の見た米国の少年」