・・・出版綱領実践委員会が集って日本の出版の浄化のために幾たびか協議しました。その過程で非常に注目すべきことがあった。エログロ出版物を駆逐するために、警察力を使えということ、新しい取締法律をつくれという意見が伝えられました。しかし、猥褻罪を取締る・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・ これらの報告の書かれた一九三一年から三二年ごろ、日本の人民的な文化、文学運動は日本プロレタリア芸術団体協議会が中心となり、一九三一年十一月からは日本プロレタリア文化連盟に統一されていた。文学の創作方法の問題では、プロレタリア・リアリズ・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第九巻)」
・・・の婦人協議会がそっくりつかまって、わたしはまた一ヵ月警察生活をした。 共産党の中央部が破壊を蒙った熱海事件がこの一九三二年十月にあり、そのころ共産党中央委員であった岩田義道が、検挙と同時に殺された。翌一九三三年の二月二十日に小林多喜二が・・・ 宮本百合子 「解説(『風知草』)」
・・・その服を着て、海老茶色のラシャで底も白フェルトのクツをはいた二十九歳の母が、柔かい鍔びろ経木帽に水色カンレイシャの飾りのついたのをかぶって俥にのって出かけたとき、三人の子供たちと家のものとは、美しさを驚歎してその洋服姿を見送った。若い母は、・・・ 宮本百合子 「菊人形」
・・・永い眠りから醒まされて、夏の朝夕一しお黒い柱の艶を増すような家の間で、華やかな食慾の競技会がある。稚い恋も行われる。色彩ある生活の背景として、棚の葡萄は大きな美しい葉を房々と縁側近くまで垂らして涼風に揺れた。真夏の夕立の後の虹、これは生活の・・・ 宮本百合子 「毛の指環」
・・・ 地方の女学校に教師をしている友達が、面に恐怖を浮べて、対校競技の時他の教師達がこぞって競争学校の生徒に対する女学生の敵愾心、反感を煽る有様について語ったことをも、現実の問題として思い浮ぶのです。〔一九三三年十一月〕・・・ 宮本百合子 「現実の問題」
・・・が、この作品競技でその事業の具体的な困難さを理解しているものはまるで少なかったのである。 ファシストの手先となった社会民主主義、第二インターナショナルがどんな階級的裏切りを行っているか。それとの闘争も形象化されていない。 ただ一つ総・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・十九日の日本プロレタリア文化連盟拡大中央協議会は、開会、即時解散をくったが、文化団体として前例のない勇敢なデモが敢行され、新聞はトップ四段抜きでその報道をのせ、築地小劇場の会場が混乱に陥った瞬間の写真が掲載されている。警視庁特高係山口、明大・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・日本プロレタリア文化連盟が、日本のプロレタリア文化運動の唯一つの輝かしい綜合団体として結成されてから、作家同盟はそこの婦人協議会へ数人の婦人作家を協議員として送り出している。 日本プロレタリア文化連盟から刊行される日本で唯一つの階級的な・・・ 宮本百合子 「国際無産婦人デーに際して」
・・・一九四七年の夏ごろ、文学サークル協議会の指導者の一人だった島田政雄は、日本の労働者階級、勤労者の現実では、労働者階級の勝利、社会主義社会を展望する社会主義的リアリズムの創作方法を云々するのは尚早であって、「人民的リアリズム」を提唱すべきであ・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
出典:青空文庫