・・・――全日本無産者芸術団体協議会は、四月下旬からつぎつぎに各同盟の大会をもった。 五月二十四日には日本プロレタリア作家同盟第三回全国大会が、築地小劇場で行われた。 ちょうど、赤字穴埋め策として立てた政府の官吏減俸案に反対し全国的官吏の・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・(左翼芸術運動における理論的統一のための論争、芸術理論の質的高揚と転化、全日本無産者芸術団体協議会の結成、日本プロレタリア文化連盟 第四期一九三二年後半から一九三四年三月頃まで。 第五期一九三四年後半より今日・・・ 宮本百合子 「『文芸評論』出版について」
・・・ということは、かつてベルリン・オリンピックのとき、軍国主義日本が示した国威発揚的示威に正しい批判をもつこんにちの日本青年は、世界平和のためにこそ、平和日本のためにこそ、世界の民主的青年とともに競技するものであるという態度を明確にする以外にな・・・ 宮本百合子 「ボン・ボヤージ!」
・・・禁酒会員であるシャポワロフは、この教義と一日一ルーブルの稼ぎで、母、妹、二人の弟を養わねばならない現実生活が彼の全身に囁き込む生きた抗議との間に生じる矛盾で苦しんだ。 ゴーリキイは、恐ろしい乱読と廻り路を通してではあったが、ともかくこの・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・婦人協議員沢村貞子、同じく演劇同盟員北原幸子という二人の若い同志もいます。日本にプロレタリア文化運動が始まって以来未だかつてなかった今度のがむしゃらな大暴圧が「コップ」に加えられたというのはなぜでありましょうか? 戦争準備のためです。 ・・・ 宮本百合子 「ますます確りやりましょう」
・・・子さん、A子さんの親、Y氏、それぞれが真面目にA子さんの新しい生活の立て直しについて考え、その実現をのぞむのなら、H家、A家、A子さん、Y氏みんなが集って、最も妥当な方法でH氏の母親の身の処置について協議すべきです。 嫁だから姑の世話を・・・ 宮本百合子 「三つのばあい・未亡人はどう生きたらいいか」
・・・ その中に、働く婦人大衆のいろいろの文化的問題をとりあげて行く婦人協議会というのもあります。 わたし達みんなの路を照らす正しい篝火として、日本プロレタリア文化連盟を守って強く輝しく育てなければならないと思います。〔一九三二年一月〕・・・ 宮本百合子 「「モダン猿蟹合戦」」
・・・ 離婚において、これまでは妻の側からの離婚の要求は殆んど出来ないのが普通であった。協議離婚として、離婚しようとする対手の夫がその申出を承認し、二人の証人も承認し、妻がわかければ、妻の生家の戸主の署名までなければ、離婚は不可能であった。妻・・・ 宮本百合子 「離婚について」
・・・すなわち、英国人の公平な勝負という標語もボート・レースやポローの競技場埒外では、アフガニスタンやパレスタインまで出ると怪しいもんだという懐疑を公然抱いているのだ。彼女は坐っている。 M氏は、 ――こないだも、あの有名な醤油の某々の息・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
・・・第一に心づくことは、ドイツもフランスも、ロシアも、新教と旧教、ギリシャ正教などのちがいこそあれ、いずれも一般の常識は深い宗教的影響をうけていて、教育そのものが、宗教的教義の重石に窒息されている国柄であったということである。そういう宗教の独断・・・ 宮本百合子 「若き精神の成長を描く文学」
出典:青空文庫